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2011 年度 実施状況報告書

レアアースを用いない自動車用高強度材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560890
研究機関岩手大学

研究代表者

小綿 利憲  岩手大学, 工学部, 副技術室長 (70374866)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード球状黒鉛鋳鉄 / レアアース / 黒鉛粒数 / レアアースレス
研究概要

自動車のエンジンや自動車用重要保安部品に使用される鋳鉄材料は、高強度が要求されるため、強度向上のための処理剤としてレアアース(希土類元素(RE))が一般に使用されている。しかし、最近中国の動向によりREの確保がきわめて困難が予想される。そこで、REを使用せずに、アルカリ土類金属を利用した処理剤の開発による自動車エンジンや重要保安部品に使用される鋳鉄材料の、重い・脆いというイメージを一新する「高強度鋳鉄材料」が製造できる技術を確立する。なお、球状黒鉛鋳鉄の高強度化には黒鉛粒数の増加が不可欠である。また、REを添加する技術を利用する場合には、REの中でも特に需要が急増しているネオジウム(Nd)、プラセオジウム(Pr)、サマリウム(Sm)を抜かれたRE合金や100%セリウム(Ce)や100%ランタン(La)をRE源としたRE合金が鋳鉄の特性に与える影響を調べておく事も不可欠である。上記のような研究は、全く行われていないのが現状で、報告も全くなされていない。 初年度は「高強度鋳鉄材料」としての薄肉球状黒鉛鋳鉄の機械的性質と黒鉛粒数に及ぼすCeとLaの影響について研究を行い、以下の結果を得た。 1.薄肉3mm試料において、Ce、Laを単体でRE源とした試料の方がCe、Laを混ぜてRE源としたものより黒鉛粒数が多かった。2.最も黒鉛粒数が増加したのはCeを単体(Ce100%試料)で添加した試料で910個/mm2という結果が得られた。3.黒鉛粒数増加機構を検討するために、黒鉛晶出の下地として作用する硫化物の定量分析を行った結果、添加したCe,La比率と硫化物中のCe,La比率がとても近似した値となる事が解った。4.Ce100%試料は,黒鉛の中心部に見られる硫化物の粒径が,Ce,La50:50試料と比較して小さく数多く晶出したため黒鉛粒数が増加したと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

球状黒鉛鋳鉄の材質特性に及ぼすレアアースの影響について調査することと、最終的にはレアアースレスを目指している。 平成23年度は、REの中でも特に需要が急増しているネオジウム(Nd)、プラセオジウム(Pr)、サマリウム(Sm)を抜かれたRE合金や100%セリウム(Ce)や100%ランタン(La)をRE源としたRE合金が鋳鉄の特性に与える影響について研究を行い、研究実績概要に記載した結果が得られた。 同時に、レアアース低減による処理剤の開発を行い、レアアース低減が可能であることも確認できた。 これらの結果を基に今後の研究を進めれば良いことが解った。

今後の研究の推進方策

球状黒鉛鋳鉄の機械的性質と黒鉛粒数に及ぼすREの影響について、今後REとして極めて有用なREの除かれた、比較的安価なCeを主成分としたREについて効果が確認出来た。従って、このCeを主成分とした処理剤を基本にさらにRE代替としてアルカリ土類金属等について調査を行っていく。最終的にはレアアースレス化を目指すが、完全なレアアースレスが不可能としても、比較的安価となるであろうCeを主成分とした処理剤を少量使用することで、低コストな自動車用重要保安部品である球状黒鉛鋳鉄の強靱化を目指す。

次年度の研究費の使用計画

本年度使用した合金処理剤は、従来から在庫としてあった処理剤の範囲内にて、概ねの結果が得られた。そのために、本来予定していた処理剤を購入しなかっために「次年度使用額」が生じた。この研究費は、翌年度以降に請求する研究費と合わせて、新たな処理剤の開発に必要なアルカリ土類元素を主とした処理剤等の購入に充てる予定である。 また、翌年度以降の研究を継続遂行する上においても試料作製が不可欠であり、試験片作製のための溶解原材料、溶解に必要な器具さらに試験片の観察、解析を行うための消耗品が本年度と同様に必要となる。また、特に溶解実験等は1人では難しいために実験協力者が必要となりそれに伴う謝金も必要となる。 他大学や試験研究機関等の専門家とも相談できる体制にあり、必要とする添加合金をメーカーとの共同開発により試作もできる体制もある。このような調査や打ち合わせ等さらには成果の発表などのために旅費が必要である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 希土類元素(RE)の規制における鋳鉄製造の動向

    • 著者名/発表者名
      小綿 利憲
    • 学会等名
      平成23年度実験・実習技術研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      平成24年3月15日

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公開日: 2013-07-10  

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