本研究では,AZ31/AZ121の二層クラッド材を製造する実験を行った.本実験では、1対の上下ロールを使用して実験を行なった. その結果,As-cast板のクラッド比はAZ31とAZ121の板厚さの比で,0.58:1,50%圧延後のクラッド比は0.6:1,さらに75%圧延後のクラッド比は0.61:1であった.As-cast板は板厚3.7mm,50 %圧下後の板厚は1.8mm,75%圧下後の板厚は1mmであった.圧延後のAZ31とAZ121のクラッド比はas-castのクラッド材の場合とほとんど変わらず,これらの結果から二層材料のクラッド比は,鋳造時のロール周速度および凝固長さによって制御できることを確認した. また、Al/Mg/Alの三層クラッド材料の実験として横型タンデム双ロールキャスターを用いてAl/Mg/Alクラッド材の製造を行い,製造したクラッド材の接合部に存在する混合層厚さの調査,金属間化合物の調査を行った.その結果,得られたAl/Mg/Alの三層クラッド材料のクラッド比は.2:4.2:0.7であった.また,接合界面における混合層の厚さはAl/Mg層の混合層厚さは約10μm程度,Mg/Al層の混合層厚さは同じく約10μmであった. 混合層の金属間化合物を同定したところ混合層に存在している化合物は,Al3Mg2とMg17Al12であることを確認した.界面における混合層の存在比率としては,Al3Mg2の方がMg17Al12より多く存在していることを明らかにした.これらの実験の結果,得られたAl/Mg/Alの三層クラッド材料はタンデム双ロール法によって製造することができ,急冷凝固の効果によりそれぞれ微細な結晶を有している.接合界面にはAlとMgの金属間化合物が析出するが,本実験の範囲においてはAlの化合物,Al3Mg2の方が多く析出していることが判明した.
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