研究概要 |
低炭素化社会の実現のためには、次世代自動車用材料として軽量であるアルミニウム合金の使用は必須である。その中で新規の機能性をもつアルミニウム合金の需要は今後増加が予想される。この要望を達成するには、素材段階でナノレベルでの組織制御が必要である。 本研究では、申請者のもつアルミニウム合金の整合性ナノ組織制御技術として考案した手法と原理を完成させることにより、希土類金属元素に依存しない新しい機能性アルミニウム合金の開発研究を行うことを目的として、平成24年度は、Al-Mg-Si 合金で析出する中間相である’相の結晶構造を中心に、計算による添加元素とくに安価な遷移金属の影響を検討するとともに、得られるHRTEM像のシミュレーションを実施した。具体的には、遷移金属元素としてFe, Mn, Crをクラスターの中心に1つ含むモデルを構築し、これらが析出物の構成元素として含有しうるかを検討した。 結果として、周期的に存在しうることが証明された。さらに中間相中で存在しうると計算されたCuとAgを同時に添加した合金を作製し、それらの存在位置を確認したところ、現状では、両元素は別々ではなく、互いに位置を決めずに存在していると考えられるデータが得られた。
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