• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

電子デバイスプロセスを利用した水素分離用金属薄膜の作製

研究課題

研究課題/領域番号 23560906
研究機関岐阜大学

研究代表者

上宮 成之  岐阜大学, 工学部, 教授 (60221800)

研究分担者 宮本 学  岐阜大学, 工学部, 助教 (60538180)
キーワード水素 / 分離膜 / フォトリソグラフ / 複合膜 / 金属拡散 / パラジウム膜
研究概要

平滑な樹脂基板上に無電解めっきでPd層を形成した後にレジストを塗布し、簡易なOHPシートを用いたフォトマスクを通して紫外線を照射・現像することでPd層上にレジストパターンを得た。その後AuとNiの電解めっきを行い、レジストと樹脂基板を除去することでPd複合膜を得た。フォトリソグラフィーでPd複合膜作製したとき、ネガ型レジストを用いたときには露光・現像後に電解めっきを実施できずレジストがPd層上に残存しることが確認された。一方、ポジ型レジストを用いたときにはレジストが残存することなく、AuおよびNiの電解めっきを実施でき、多孔質Ni支持体層の形成が確認できた。
水素が多孔質Ni支持体層を抵抗なく拡散できるようにするために、機械的強度を保ちつつも細孔開口率を大きくすることを試みた。そのため既存のセラミック支持体と同程度の開口率のNi支持体層を作製し、水素透過係数(膜厚で補正した単位膜厚あたりの水素透過速度)を文献値と比較した。その結果、Ni支持体層の開口率を考慮して算出したPd複合膜の水素透過係数は、ほぼ文献値と同等であり、フォトリソグラフィーにより多孔質支持体層をPd層上に作製した新規なPd複合膜を作製できたと言える。
Pdと多孔質Ni支持層は高温下では容易に合金化し,ボイド等が発生することが懸念されるため、Pd層とNi層の間にAuなどをめっきすることで熱拡散抑制層を作製している。水素透過性が時間とともに若干低下したことから、それらの金属間の相互拡散が生じたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

多孔質Ni支持層の抵抗が小さくなるような構造(開口率、細孔径、層の膜厚)を設計することを目的として、細孔構造はSEM観察、さらにはポロシメーターにより細孔径分布や細孔容積の測定等で評価する計画であったが、本年度は実施できなかった。これは当初使用予定であったレジストがメーカー側の理由で入手困難となったため、別メーカーからレジストを入手し製膜条件を一から見直しを迫られたためである。

今後の研究の推進方策

平成24年度までに得られた結果を基にして,平成25年度は以下の事項の研究を実施する。
水素が多孔質Ni支持体層を抵抗なく拡散できるようにするために、機械的強度を保ちつつも細孔開口率を大きくすることを試みる。これまでPd膜を破損が生じないよう比較的厚めにして、Ni支持体層の作製に関する検討を実施してきた。今後は、Pd層の厚みを1μm程度まで薄くし、多孔質Ni支持層の抵抗が小さくなるような構造(開口率、細孔径、層の膜厚)を設計する。細孔構造はSEM観察,さらにはポロシメーターにより細孔径分布や細孔容積の測定等で評価する。強度を維持しつつも水素透過性能を向上させるため、多孔質Ni支持層の構造をさらに高度に制御することを試みる。
また,実用化に際しては数年以上の耐久性が必要である。そこでめっき薄膜の機械的強度を万能試験器で測定し、既有のめっき薄膜で得られたデータと比較・参照しながら耐久性向上のための基礎データとする。なお本研究では、実験室規模での分離膜作製であることから、一週間程度の連続運転に対する耐久性を得ることを目標とする。

次年度の研究費の使用計画

次年度においても、めっき法による金属層の形成および水素透過試験は岐阜大学で実施するが、フォトグラフィーによるパラジウム薄膜上へのパターン形成は名古屋大学先端技術共同研究施設にて実施する。そのため次年度においても、30回程度名古屋大学まで往復する交通費を計上した。併せて研究情報調査(講演会参加)および化学工学会をはじめとする関連学会での成果報告のための旅費を計上することを予定している。
消耗品はリソグラフィー用に試薬およびめっき用試薬が占める割合が大きいが、消耗品の一部を試験ガス、配管部品、めっき用薬品、パイレックスガラス器具および石英ガラス器具等の購入に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] フォトリソグラフィーを活用したPd複合膜の作製と水素透過性能評価2013

    • 著者名/発表者名
      上宮成之、原田真吾、佐藤誠司、宮本 学、近江靖則、山田博史、田川智彦
    • 学会等名
      金属学会2013年春期大会
    • 発表場所
      東京理科大学(新宿区)
    • 年月日
      20130327-20130329
  • [学会発表] フォトリソグラフィーを利用した新規なパラジウム複合膜の作製法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      上宮成之、原田真吾、佐藤誠司、宮本 学、近江靖則、山田博史、田川智彦
    • 学会等名
      日本膜学会膜シンポジウム2012
    • 発表場所
      神戸大学(神戸市)
    • 年月日
      20121106-20121107
  • [学会発表] フォトリソグラフィーによるPd 複合膜の作製と評価2012

    • 著者名/発表者名
      原田真吾、佐藤誠司、宮本 学、近江靖則、上宮成之、山田博史、田川智彦
    • 学会等名
      化学工学会第44秋季大会
    • 発表場所
      東北大学(仙台市)
    • 年月日
      20120919-20120921

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi