研究概要 |
本研究は混合粒子懸濁液からの標的粒子の分離手法として、懸濁液への高周波超音波による微細液滴の生成と液中での粒子凝集の2つの作用を組み合わせた手法の開発を目的としている。平成23年度は単成分多分散懸濁液の分離特性について調査を行い、異なる粒径を持つシリカ粒子混合分散液を試料として、1.6 MHz, 2.4 MHzの超音波照射による分離を行った。購入した広帯域パワーアンプを用いて試料に2つの異なる周波数の高周波超音波を照射できる実験装置を作成した。100~1000 nmの間のシリカ単分散粒子試料を複数混合し、水に分散させた懸濁液を試料として用いた。種々の操作条件のもとで試料の超音波霧化を行い、粒子を霧に取り込ませて回収し、回収液に含まれる粒子径を動的光散乱装置により測定して分離特性を評価した。 周波数について1.6 MHzと2.4 MHzを用いた場合での粒子の分離挙動に明確な周波数依存性は見られなかった。投入電力の増大とともに、霧に取り込まれる粒子径が大きくなり分離は低下した。比較的投入電力の低い条件が粒子分離に適することがわかった。2.4 MHzの超音波照射で分離できる粒子径の閾値が240 nmであることを明らかにした。試料溶液への界面活性剤の添加により、分離できる粒子径をより小さく制御することができるとともに、粒子の回収速度を大きくできることを見出した。これらの成果を論文としてK. Suzuki, J. Hisaeda, S. Nii, J. Chem. Eng. Japan, 45(2),114-118(2012)に発表した。
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