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2012 年度 実施状況報告書

分離径制御流同伴型サイクロンの開発とPMーVOC同時除去とナノ粒子合成への利用

研究課題

研究課題/領域番号 23560910
研究機関広島大学

研究代表者

福井 国博  広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60284163)

キーワード乾式サイクロン / 湿式サイクロン / 焼結金属 / スリット / 分級径 / 分級精度 / マイクロ波
研究概要

サイクロンは集塵機や分級機として広く用いられているが、吸引エアロゾル流の流量を変化させることができなかった。そこで本申請研究では、新たにコニカル部に多孔質材料を持つ分離径制御流同伴型サイクロンを開発し、少量の制御流をコニカル部から導入するこ
とでオンタイムに分離径を自在に変更することを可能とし、従来のサイクロンよりも分離径を微小化することを第1の研究目的としている。また、このサイクロンとマイクロ波加熱を併用し、PM0.1~PM2.5 の粒子状物質とVOCを同時に除去する乾式システムを構築する
と共に、主流を液体、分離径制御流を気体として、粒子合成と分級・捕集を同時に行う湿式機能性粒子製造プロセスを構築することを第2の研究目的としている。
本年度は、コニカル部に2μmと10μmの2種類のポア径を持つ焼結金属を有する分離径制御流同伴型サイクロンを試作し、焼結金属からクリーンエアを供給する効果を液体サイクロンについて検討・評価した。その結果、液体サイクロンでも、ポア径2μmの焼結金属ではクリーンエアの供給量により分級径を制御でき、適切な供給量を選択することで従来よりも微細な分級径を得ることが可能であることも明らかとなった。しかし、ポア径10μmの焼結金属ではクリーンエア供給の効果がほとんどないことがわかった。さらに、ポア径2μmの焼結金属製円錐にマスキングを施し、4箇所のスリットからのみクリーンエアを供給する手法を提案し、この分級性能を評価した。その結果、この手法でも同様にクリーンエアの供給量により分級径を制御でき、分級精度指数が悪化しないクリーンエア流量域が増大することも明らかとなった。
一方、マイクロ波照射については、これを行うための装置を改変し、サイクロンをキャビティー内に設置できる装置を作製した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度以降に行う検討項目として、「マイクロ波照射によるVOC等有害成分分解性能の向上・評価」「分離径制御流同伴型サイクロンを用いた気液反応による粒子創製プロセスの開発と評価」「分離径制御流同伴型サイクロンを用いた閉回路粒子創製捕集プロセスの開発と評価」「粒子捕集とマイクロ波によるVOC分解機構の解明と理論構築」の4項目を挙げていた。
本年度はこれらのうち、「分離径制御流同伴型サイクロンを用いた気液反応による粒子創製プロセスの開発と評価」「マイクロ波照射によるVOC等有害成分分解性能の向上・評価」「分離径制御流同伴型サイクロンを用いた閉回路粒子創製捕集プロセスの開発と評価」に関する基礎的な検討を行うことができた。すなわち、気液反応を行うための反応装置を作製し、その性能を把握することができた。また、サイクロン反応器全体にマイクロ波照射を行うことができる装置についても作製することができた。さらに、液体サイクロンを組込んだ閉回路型分級プロセス装置の開発にも着手することができた。
このように、最終年度である次年度において研究目標を達成するための基礎的検討とその準備が完了したことになる。
以上の理由により、上記のように自己点検した。

今後の研究の推進方策

平成25年度も当初の研究計画に沿って研究を推進する予定としている。「分離径制御流同伴型サイクロンを用いた閉回路粒子創製捕集プロセスの開発と評価」を重点的に検討する予定である。その後、「マイクロ波照射によるVOC等有害成分分解性能の向上・評価」なる検討項目の研究を行う。
すなわち、平成24年度で確立した実験手法と実験装置、基礎的な検討結果を踏まえ、前者の検討項目では、生成した粒子を同時に分級し、所定の粒径になったものだけを回収し、所定の粒径以下の粒子は循環させ、再度反応により粒子成長させるプロセスの特性とその効果を把握する、
また、後者についても、触媒層を担持したサイクロン側壁をマイクロ波で昇温し、有害成分の分解効率を向上させることを試み、その効果を評価する。また、その際の温度分布などのシミュレーションを行う予定にしている。これらの特性を既存の装置の性能と比較し、最終的には、総括として、「粒子捕集とマイクロ波によるVOC分解機構の解明と理論構築」を行えるようにする。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画通り、設備備品として出力の高いポンプなどを中心に購入し、装置改良を行い、精度の高い測定結果を得られるようにする。ガラス器具・試薬・試料粉体などの消耗品として使用する。また、国内の調査旅費と成果報告旅費としても利用する。さらに、平成24年度分の研究費の一部を平成25年度に使用することで、本研究の総括に必要な数値計算や理論展開に必要なソフトウェアの購入に充当する予定である。
一方、最終年度であるので、その成果を報告する論文などの印刷費や別刷り費用としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 焼結金属製円錐を持つ液体サイクロンの分級特性2012

    • 著者名/発表者名
      村重 佳奈, 福井 国博, 西田 幸生, 山本 徹也, 吉田 英人
    • 雑誌名

      粉体工学会誌

      巻: 49 ページ: 367-373

    • 査読あり
  • [学会発表] Control of classification performance of novel cyclone with sintered metal by clean-air injection2012

    • 著者名/発表者名
      Fukui K., K. Jikihara, T. Yamamoto and H. Yoshida
    • 学会等名
      20th International Congress of Chemical and Process Engineering CHISA 2012
    • 発表場所
      Prague, Czech Rpublic
    • 年月日
      20120825-29
  • [学会発表] Effect of Clean-air Injection through Porous Sintered Metal Cone on Classification Performance of Novel Cyclone2012

    • 著者名/発表者名
      Fukui K., K. Jikihara, K. Murashige, T. Yamamoto and H. Yoshida
    • 学会等名
      5th Asian Particle Technology Symposium APT2012
    • 発表場所
      Singapore
    • 年月日
      20120705-09

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公開日: 2014-07-24  

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