研究課題
本研究では、二酸化炭素を機能性溶媒として利用し、豚などの異種哺乳動物の組織に超音波照射することで、細胞成分を除去し、再生医療に利用できるバイオスカフォールド(細胞外マトリックス)の製造法を開発し、臨床応用を検討することを目的とした。23年度と24年度の研究で、異種哺乳動物の組織から拒絶反応の原因となる細胞成分を除去し、高い細胞密度を実現するバイオスカフォールド生体材料を製造する超臨界二酸化炭素超音波分散法の開発に成功した。1)超臨界二酸化炭素中での超音波ならびに攪拌操作を応用し、細胞浸透性の高いナノバブルを組織の細胞内に導入後、ラットならびに豚組織から超臨界二酸化炭素存在下で細胞成分を分離し、成分分析を行った。2)ラットの生体組織の脱細胞化組織を用いて行った細胞増殖の知見をもとに、異種脱細胞化組織(細胞外マトリックス)を用いて、ラットの組織再生実験を行った。3)脱細胞化した組織について、マイクロX線CTをもちいて組織構造の断面写真を積層データとして収集した。以上のような実験から、CO2を機能性溶媒として利用し、豚ならびにラットの異種哺乳動物の組織に超音波照射することで、細胞成分を除去し、再生医療に利用できるバイオスカフォールド(細胞外マトリックス)の製造に成功した。さらに、これを市販装置とするために、脱細胞化した組織について、マイクロX線CTをもちいて組織構造の断面写真を積層データとして収集したことで、次年度、再生医療用装置としてプロトタイプを製作することは、目的の達成度として十分評価できる。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究では、目的として、異種哺乳動物の組織に超音波照射することで、細胞成分を除去し、再生医療に利用できるバイオスカフォールド(細胞外マトリックス)の製造法の開発とし、23年度と24年度の研究で、異種哺乳動物の組織から拒絶反応の原因となる細胞成分を除去し、高い細胞密度を実現するバイオスカフォールド生体材料を製造する超臨界二酸化炭素超音波分散法の開発に成功し、当初の計画以上に進展している。目標達成の理由として、この科研費の補助が重要であった。しかし、この技術の真の実用化には、市販タイプの装置試作が必要である。次年度、再生医療用装置としてプロトタイプを製作する。
本研究の平成24年度の達成目標として、「CO2を機能性溶媒として利用した異種哺乳動物の組織に超音波照射により生成するバイオスカフォールド製造し、ラットの生体組織の脱細胞化組織を用いて行った細胞増殖の知見をもとに、異種脱細胞化組織(細胞外マトリックス)を用いて、ラットの組織再生実験を行う。」をかかげ、予定通りそれらについて実験的に検証できたので、平成25年度は、当初の計画通り、これらの市販装置化の第1段階として、脱細胞化した組織について、マイクロX線CTをもちいて組織構造の断面写真を積層データとして収集する。得られた積層データに関して、3Dプリンターを利用して生分解性高分子にて再生医療用組織として立体的に再構築する。製作した再生医療用組織を用いて細胞培養を行い量産型の再生医療用組織製造装置の可能性を実験的に検証する。
本研究では、平成25年度に、当初の計画通り、次のように研究を行う。すなわち、ラットの生体組織の脱細胞化組織を用いて行った細胞増殖の知見をもとに、異種脱細胞化組織(細胞外マトリックス)を用いて、ラットの組織の脱細胞化実験を行う。調整した異種脱細胞化組織(細胞外マトリックス)を用いて、マイクロX線CTを用いて組織構造の断面写真を積層データとして収集する。得られた積層データに関して、3Dプリンターを利用して生分解性高分子にて再生医療用組織として立体的に再構築する。製作した再生医療用組織を用いて心筋細胞の培養実験を行う。増殖組織の電気応答性を測定することで、培養素材の機能性を評価する。細胞培養を行い量産型の再生医療用組織製造装置の可能性を実験的に検証する。平成24年度は、期間内に当初の計画以上に進展したので、若干の繰越し金が発生した。これについては、量産型の再生医療用組織製造装置の可能性検討するための物品購入費として利用する。
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