研究課題/領域番号 |
23560919
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高橋 崇宏 静岡大学, 工学部, 助教 (50324330)
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キーワード | 反応機構 / 反応工学 / CVD / 遺伝的アルゴリズム |
研究概要 |
本研究では、半導体デバイスの製造に用いられているCVDプロセスを対象とし、研究開発の高速化、省力化を目的として、CVD装置内部における反応機構の解析を、人手を介さず自動的に行うシステムの開発を行っている。 本年度は、昨年度に引き続き、非線形反応など複雑な反応系への対応を目指したシステムの性能向上のために、システムに導入する様々な最適化アルゴリズムの実装と性能評価を行った。具体的には、反応機構モデルの提案、評価を行う推論エンジン部分と、反応機構モデルの的確性を定量的に評価するために必要な実験結果の予測値を計算するシミュレーター部分に、候補となる最適化アルゴリズムを導入して、パラメータの最適化を行い、自動解析システムの解析能力を評価した。昨年度は遺伝的アルゴリズム(GA)の範疇でより良いアルゴリズムの実装と評価を行ったが、本年度は、調査範囲を広げて、生物の様々な仕組みや機構から発想を得たBio-inspiredアルゴリズム全般を対象とした。 その結果、本年度、システムに特に良好なパフォーマンスをもたらしたアルゴリズムとして、Artificial Bee Colony (ABC)とCovariance Matrix Adaptation Evolution Strategy (CMA-ES)を見つけることが出来た。CMA-ESは高い探索能力と低い計算コストを両立することができる優れたパフォーマンスを示したが、探索能力が使用条件に強く依存しており、使用出来る場面に強い限定が付与されることが判明した。ABCはCMA-ESと比較して、探索能力はやや劣るが、使用条件によらず良い探索性能を示した。最終的には、昨年度の調査で高いパフォーマンスを示したREX-star+JGG法を解析用の中心として使用しつつ、CMA-ESを要所で使用する方針がベストであると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の結果として、採用するべき最適化アルゴリズムに目処がついたものの、予定していた非線形反応系への対応するプログラムは、システムに実装中で運用試験には至っていない。また、昨年度導入した流体解析ソフトウェアは、試験運用の段階で、自動解析システムとの連携には至っていない。 研究の達成度が遅れることとなった原因は、既往の研究報告からの予測と相反し、自動解析システムに導入する上では、万能なアルゴリズムは存在しないだけではなく、システム内で使用出来る条件に大きな制限があることがわかり、期待に沿ったパフォーマンスを得るための知見を得ることができたものの、評価に予想外の時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
Bio-inspiredアルゴリズムの特徴を生かした解析アルゴリズムの開発を引き続き行っていき、非線形反応系への対応を実現する。 また、流体解析ソフトウェアと自動解析システムとの連携については、引き続きCVDプロセスに対する計算環境を充実させ、ソフトウェアメーカーの協力を仰ぎながら、効率的に開発を行っていく。 さらに、実プロセスでの自動解析システムの評価を目指して、CVD装置の製作を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
システム開発環境の維持、強化を目指し、ワークステーションとその維持部品、流体解析ソフトウェアの保守契約などに研究費を使用する。本年度に得られた知見を報告するために、国内外での学会発表、論文の作成にも研究費を使用する。 さらに、真空装置維持部品を購入し、CVD装置の製作に必要な準備も行っていく。
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