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2012 年度 実施状況報告書

フィールドバス計装システムにおける自動調節弁の早期故障検出法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560921
研究機関九州大学

研究代表者

柘植 義文  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00179988)

キーワード化学工学 / 自動調節弁 / 故障診断 / フィールドバス
研究概要

(1) 平成23年度の液面制御系を対象にした固着現象再現実験の結果を踏まえて,ステムとグランドパッキンとの間の静止摩擦と動摩擦の影響を解析し,固着の進展を表現できる詳細な挙動モデルを作成した.また,固着再現実験の検証シミュレーションを行ったところ,制御弁内の挙動をかなり再現することができた.しかし,ずれが大きくなる部分もありモデルの改良が必要と思われた.
(2) 昨年度作製した流量制御系付設の水循環実験装置を液面制御も行えるように制御対象タンクとそのレベル測定用の差圧伝送器を追加した.なお,差圧伝送器を切り替えることによって,液面制御と流量制御のいづれも実験が行えるようにした.また,昨年度は,固着現象を繰り返し再現できるように,調節弁内のステムをグランドパッキンとは別のシール材で覆い,そのシール材の締め付け状態を変更することによって所定の摩擦力を加えられるような工夫を凝らしたが,より強固な締め付けを実現するために締め付け器具の改良を行った.
(3) 前述の実験装置を用いて固着現象の再現実験を行った.実験条件としては,液面設定値を矩形状,ランプ状,階段状に与える場合と,液面設定値は一定でタンクへの流入量が矩形状に変化する外乱を与える場合について,固着なし,固着弱,固着強の3段階について,実験を行った.なお,液面制御系のパラメータ(比例ゲイン,積分時間,微分時間)については,制定時間ができるだけ短くなるように設定した.
(4) 昨年度提案した固着の早期検出するための指標を用いて,液面制御系を対象にした様々な条件下で提案指標の値を確認したところ,固着の程度を定量的に評価できた.今年度は固着の程度が強くなるように締め付け器具の改良を行ったが,期待したほどの締め付けを実現することはできなかった.しかし,流量制御と液面制御という制御応答の異なる方式で共通の指標で評価できることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) 固着現象を考慮した制御弁内の挙動モデルとして定性的には妥当な挙動を再現できるモデルを得ることができた.ただし,ずれが大きくなる部分もあり更なるモデルの改良が望まれる.
(2) 流量制御および液面制御の両方を対象にした実験装置を用いて固着現象の再現実験を問題なく実施することが出来た.固着現象を模擬する締め付け器具の改良も行ったが,期待したような締め付けを実現することはできなかったため,制御性能に悪影響を及ぼすような状況を再現することはできなかった.本来の研究目的は,制御性能に悪影響を及ぼすような固着状態になる前に早期検出できる方法を開発することではなるが,固着現象の詳細なモデルとしては,制御性能に悪影響を及ぼすような状況までを表現できるモデルが望まれるため,そのような状況を再現する実験をできるようにすることが望まれる.
(3) 固着の早期検出のための指標の提案までは行うことが出来たが,現状はその指標を用いた監視までである.また,この指標は固着現象を考慮した制御弁内の挙動モデルに基づいたものであるので,挙動モデルを改良すると指標自体の変更も必要なると考えられる.

今後の研究の推進方策

(1) 過去2年間の固着現象再現実験の結果を踏まえて,挙動モデルの改良を行う.具体的には動摩擦力の取扱いとして,これまでは1つの係数で表現していたが,動摩擦がクーロン摩擦と粘性摩擦の組合せであるとを考慮したモデルに改良する.改良したモデルを用いて,過去2年間の再現実験結果の検証シミュレーションを行い,モデルの改良の妥当性を検討する.
(2) 固着現象を模倣するための締め付け器具の改良を行い,制御性能に悪影響を及ぼすような状況下での実験を行う.この実験結果に対する検証シミュレーションを通じて,前項で述べた改良モデルの妥当性の確認を行う.
(3) モデル改良後の固着早期検出のための指標について再検討を行うと共に,実プラント運転中に固着の進捗状況を監視・検出する方法を提案する.

次年度の研究費の使用計画

(1) 物品費:40万円
・固着現象を模擬するための締め付け器具の改良,および締め付け時に取り替えて使用するパッキン等の消耗品の購入を行う.
(2) 旅費:60万円
・研究成果の一部を国内外の学会で積極的に発表する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Behavior Simulation of Pneumatic Control Valve with Fieldbus Communication

    • 著者名/発表者名
      Kyohei KUBO, Takehiko BABA, Akemi FUJIHARA, Naoki KIMURA and Yoshifumi TSUGE
    • 学会等名
      25th International Symposium on Chemical Engineering (25th ISChE)
    • 発表場所
      okinawa

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公開日: 2014-07-24  

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