研究概要 |
本研究では、めっき液の素早い置換が可能な微小流路装置を用いた、銅めっき用添加剤の変化による電流密度変動測定を行った。また、反応器容量300ulのフローセル型EQCMを用いて添加剤吸着による重量増加を測定した。このとき、水晶振動子(共振周波数:9 MHz、電極材料:Au、電極面積:0.196 cm2)を作用電極として-0.4 Vの定電位で銅めっきを行い、対極にはPt、参照電極にはAg/AgClを用いた。反応器の液流入口には切り替えコネクターがあり、めっき液組成を瞬時に切り替える事ができる。液流量は1 ml/minとした。めっき液組成は硫酸銅五水和物0.03 mM、硫酸0.09 mMであり、添加剤には、ポリエチレングリコール(PEG、分子量20000)、Cl-を用いた。 Cl- 50 ppm含む液からCl- 50 ppm + PEG 50, 500, 1000 ppmを含む液に切り替えたEQCM結果からPEG濃度が大きいほど吸着量は増加した。ここで、n: 重合度(454), L: モノマー長(0.44 nm), W: モノマー径 (0.30 nm)とし、PEG分子を球形と仮定すると、直径dは3.25 nmとなる。PEG分子が電極表面 (0.196 cm2) に直径dで最密かつ一層で吸着していると仮定すると、PEGの最大吸着数は1.85×1012 個となり、その重量は61.6 ngになる。EQCMで得られた重量変化量と計算で得られた最大重量を用いて、PEGの表面被覆率を求めた結果、50, 500, 1000 ppmでそれぞれ0.32、0.62、0.73となった。 電流密度変化から求めたPEG表面被覆率は50~1000 ppmで0.5~0.7であり、重量変化から求めた被覆率と同等であったことからPEGの電流遮蔽効果は重量に比例することが分かった。
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