研究課題/領域番号 |
23560923
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
尾上 薫 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40265468)
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研究分担者 |
岡田 昌樹 日本大学, 生産工学部, 准教授 (60287597)
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キーワード | 環境技術 / 有害化学物質 / 微細気泡 / ミスト / 大気圧プラズマ / フェノール / p-クロロフェノール / クロロベンゼン |
研究概要 |
大気圧プラズマは化学合成,半導体,医療,金属表面の改質,環境処理などさまざまな分野への応用が期待されている.水質浄化における残留性有機汚染物質(POPs)の処理では,薬剤を使用せず,効率的に対象物質を複数処理できる技術の開発が望まれている.本研究では,POPsの一つであるポリ塩化ビフェニル(PCB ; polychlorobiphenyl)を含有する排水に対するオゾン微細気泡・液滴/プラズマ複合法を用いた同時分解処理に着目した.気-液系における異相接触反応では,異相界面反応場での特異的な反応の進行が期待できる.さらに,異相界面反応場へのプラズマ照射により反応場を活性化することで,通常では分解困難な物質を処理できる可能性がある.平成24年度は,ミスト化した液体を大気圧誘導結合プラズマ(AICP)内に導入し,さまざまな成分を反応原料としてプラズマ内に安定供給する方法の開発を行った.プラズマ発生に用いる石英トーチにミストを含む気-液二相流体,プラズマソースガスを別々に供給した.また,石英トーチ外周に設置した誘導コイルに40.68MHzの高周波を付与することでプラズマを発生させた.ミストは超音波霧化またはネブライザーを用いて供給した.超音波霧化を用いる場合には,2.4MHzの超音波振動子(本多電子製)を内蔵したアクリル製の発生槽を用いてミストを発生させた.一方,ネブライザーを用いる場合には,ネブライザー分級ミスト供給装置(Riverbell製)を用いてミストを発生させた.さらに,生成したプラズマの特性を発光スペクトルをもとに検討した.その結果,平均液滴径が5μm程度のミストをプラズマに供給すると照射出力Pwが500W 以上で安定したプラズマが得られ,Pwが500WではOH・に起因するピークが支配的であること,Pwの増加にともないHαやOの原子発光にシフトすることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機塩素化合物としてp-クロロフェノールを用いた場合におけるアルゴンプラズマとの接触反応特性について検討した結果,p-クロロフェノールから無機塩素イオンが遊離することを確認し,1次反応速度定数が3.47×10-3 min-1であることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
有機塩素化合物の種類を増やし,大気圧誘導結合プラズマ法とミスト法の複合化が有機塩素化合物の分解過程に及ぼす影響を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
微細気泡法またはミスト/大気圧プラズマ法で得られた知見を基に,バブル・ミスト/大気圧プラズマ複合法のハイブリッド効果を検討した後,最終的に本手法におけるPCB含有排水の最適処理条件を明らかにする.そのため,研究費は上記検討に必要な試薬や原料ガス等の消耗品費に主に使用する.その他には,実験補助のための謝金,および研究成果を公表するための国内学会発表の旅費とする.
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