研究課題/領域番号 |
23560930
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
窪田 好浩 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30283279)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | チタノシリケート / Ti-YNU-2触媒 / フェノール酸化 / 過酸化水素 / スチーミング |
研究概要 |
我々が最近合成に成功した新規ゼオライト類YNU-2およびその前駆体YNU-2Pの化学挙動は多様性に富み、欠損部位の生成とその修復を意図的に行うことができる。これまでに本物質の欠損部位の精密解析を行い、触媒化するための基本的な知見を蓄積してきた。本研究では、欠損部位を足がかりにした触媒活性点としてのTiの導入と高性能酸化触媒への展開を主要目的とする。酸化反応は具体的にはフェノールの酸化である。Ti-BEAやTi-MWWはオレフィンのエポキシ化には優れた触媒性能を示すものの、フェノール酸化には適さない。このように難度の高いフェノール酸化反応に対し、Ti-YNU-2触媒の高性能化を図ることとした。まず、我々が確立した方法でYNU-2の合成を行った。その際、原料組成比、合成温度、合成時間、pH、添加物、焼成温度・時間等の検討を行い、焼成前後のゼオライト骨格構造の規則性および焼成サンプルの細孔の状態などを確認した。こうして、純度・結晶性および安定性が高く、触媒調製に適するサンプルを得た。次いで、YNU-2の欠損部位の量を制御するためのスチーミング条件の検討、YNU-2のTiCl4処理時の「処理温度」「処理時間」「TiCl4濃度」の検討、Ti-YNU-2の焼成処理時の「焼成温度」の検討を行った。その結果、スチーミングは分圧10 kPaで250℃, 24 h がその後のTi導入および触媒の高性能化に良い影響を与えることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
純度・結晶性および安定性が高く、触媒調製に適するYNU-2が得られたところまでで、H23年度の目標を満たしており、H24年度の実施内容にも含まれうる結果まで得られてきているので、達成度は高いものと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に各条件で調製したTi-YNU-2を酸化触媒とするフェノールの酸化の実施へ向けて、さらなる調製法の検討を行う。具体的な計画として、スチーミングを利用したSiのマイグレーションによる骨格の安定化を図る。その上で、Si/Ti = 70 程度までTiが導入されることを目指す。この目標の実現には「スチーミング時」、「Ti導入時」および「焼成時」の[温度]と[雰囲気]が重要なファクターであると考えている。本研究ではそれぞれの温度やガス雰囲気(スチーミング分圧含む)を制御することで、Ti-YNU-2の触媒性能の向上を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
各種の合成や分析は、既存の設備で行うことができる。したがって、研究費は合成用有機試薬・無機試薬、および情報収集・成果発表用の旅費にその大部分を使用する計画である。
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