研究課題/領域番号 |
23560931
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小宮山 政晴 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60150257)
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研究分担者 |
依田 英介 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (70377589)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 超臨界水 / 酒粕 / ガス化 / 固体触媒 / 流通法 |
研究概要 |
本研究は、現時点ではメタン発酵法しか有効な処理方法のない酒類発酵粕(酵母等のタンパク質を主成分とするバイオマス)を、懸濁状態のままで前処理することなく、固体触媒存在下で亜・超臨界反応させてエネルギー資源化する、安価で低エネルギーの処理プロセスを開発することを目的としている。 本年度は当初計画として、1.回分型超臨界反応装置の継続的改良、2.これを用いた触媒系の探索、3.流通式超臨界反応装置の設計、の実施を予定した。実際には、1.回分型超臨界反応装置の継続的改良、2.これを用いた触媒系の探索ならびに触媒反応特性の測定、3.これらに基づく触媒調製方法の探索、4.流通式超臨界反応装置(流量0.4mL/min)の設計・試作、5.最大流量150mL/minの流通式反応装置の設計、を行った。 その結果、1.回分型超臨界反応装置を用い米焼酎粕(固形分約7wt%)を反応物とした触媒探索により、有望な触媒系数種を見出した、2.これら触媒の反応特性(ガス発生量、ガス組成、およびこれらの反応転化率依存性など)を検討し、本反応系は構造鈍感である可能性を見出した、3.流通式超臨界反応装置(流量0.4mL/min)を設計・試作し、これら触媒系の寿命測定方法を確立した、4.これにより、これら触媒系を長寿命化するための触媒調製方法の検討を開始した。 以上の結果は、本プロセスの確立とその実用化に向けて必要となる基礎データの収集という面から、大きな意義を有するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」にも示したように、本年度の研究は当初計画、1.回分型超臨界反応装置の継続的改良、2.これを用いた触媒系の探索、3)流通式超臨界反応装置の設計、に加えて、1.回分型超臨界反応装置を用いた触媒系の探索ならびに触媒反応特性の測定、2.これらに基づく触媒調製方法の探索、3.最大流量150mL/minの流通式反応装置の設計、を行った。すなわち本研究は当初の計画以上に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画は全体として、次の三段階からなっている。 1.最適反応条件ならびに触媒の探索:回分型反応器による酒粕ガス化に適した反応条件ならびに不均一系触媒の探索。反応速度、触媒安定性などの観点から、最適な触媒組成、担持様式、調製方法、前処理条件などを決定。2.流通式およびベンチスケール反応装置の試作・運転条件確立:スラリー流通式およびベンチスケール反応器の試作とその最適運転条件の確立。反応圧力、反応温度、バイオマス(酒粕)濃度、滞在時間(流速)などを最適化。3.超臨界水ガス化による酒粕廃液処理プロセスの確立:寿命も含めた最適触媒系および最適反応条件の確立。実機の設計・開発。4.全期間を通して、タンパク質系バイオマスの超臨界水ガス化に関する基礎的知見の集積:とくに窒素分の触媒特性・反応特性に対する影響に注目。 本年度はこの1.段階を終了し、2.段階の一部も完了した。今後は2.の残り段階と3.段階の研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は比較的研究が容易に進行し、当初計画以上の進展を得ることができた。研究の進展が順調であったため、とくに消耗品費の支出が当初計画より少なかった。次年度は、本年度の残存経費は主に消耗品費として、また次年度の予定研究経費は当初計画に従って使用し、可能な限り研究計画を前倒しして実施したい。
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