研究課題/領域番号 |
23560931
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小宮山 政晴 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 教授 (60150257)
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研究分担者 |
依田 英介 茨城工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70377589)
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キーワード | 超臨界水 / 酒粕 / ガス化 / 固体触媒 / 流通式反応装置 / 触媒寿命 |
研究概要 |
本研究は、現時点ではメタン発酵法しか有効な処理方法のない酒類発酵粕(酵母等のタンパク質を主成分とするバイオマス)を、懸濁状態のままで前処理することなく、固体触媒存在下で亜・超臨界反応させてエネルギー資源化する、安価で低エネルギーの処理プロセスを開発することを目的としている。 本年度は昨年度からの継続として、本研究で試作した流通型超臨界水反応装置(流量0.4mL/min)ならびに大流量反応装置(最大流量150mL/min)を用いた最適操作条件の探索・決定(反応圧力、反応温度、バイオマス濃度、滞在時間等)を実施し、また新たに触媒寿命改善の方策も探索した。 その結果、1.これまで本研究で見出した有望な触媒系の寿命特性を検討し、長期の反応に耐えうる有望な触媒を特定した、2.流通式超臨界水反応装置の最適操作条件を探索し、とくに触媒寿命の観点から最適条件を確立した、3.本反応系において触媒を長寿命化するためのプロセスパラメーターを明らかにし、その最適値を特定した。 以上の結果は、本プロセスの確立とその実用化に向けて必要となる基礎データの収集という面から、大きな意義を有するものである。この結果をいくつかの国際会議において報告し、また国際的な学術誌に2報の論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・当初計画では、本年度に超臨界水ガス化による酒粕廃液処理プロセスに関して寿命も含めた最適触媒系および最適反応条件を確立してベンチスケール反応装置の試作を行うこととなっていたが、触媒寿命の改善に手間取って、その完了が本年度末までずれ込んだ。 ・そのため試作中のベンチスケール反応装置のうち反応器の設計パラメータが確定できず、反応器の組み立てが年度内に終了しなかった。 ・そのため事業期間を1年延長して、当初目標を完了することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画は全体として、次四段階からなっている。 1.最適反応条件ならびに触媒の探索:回分型反応器による酒粕ガス化に適した反応条件ならびに不均一系触媒の探索。反応速度、触媒安定性などの観点から、最適な触媒組成、担持様式、調製方法、前処理条件などを決定。2.流通式およびベンチスケール反応装置の試作・運転条件確立:スラリー流通式およびベンチスケール反応器の試作とその最適運転条件の確立。反応圧力、反応温度、バイオマス(酒粕)濃度、滞在時間(流速)などを最適化。3.超臨界水ガス化による酒粕廃液処理プロセスの確立:寿命も含めた最適触媒系および最適反応条件の確立。実機の設計・開発。4.全期間を通して、タンパク質系バイオマスの超臨界水ガス化に関する基礎的知見の集積:とくに窒素分の触媒特性・反応特性に対する影響に注目。 本年度はこの3.段階の一部まで完了した。今後は3.の残り段階と4.段階の研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では、本研究の最終年度(25年度)に、超臨界水ガス化による酒粕廃液処理プロセスに関して寿命も含めた最適触媒系および最適反応条件を確立してベンチスケール反応装置の試作を行うこととなっていたが、触媒寿命の改善に手間取って、その完了が本年度末までずれ込む見通しとなった。 そのため試作中のベンチスケール反応装置のうち反応器の設計パラメータが確定できず、この部分の部品購入ができない状態に至った。 試作中のベンチスケール反応装置のうち、反応器部分の部品購入に使用する。なおベンチスケール反応装置のそれ以外の部分はすでに購入・組み立て済みである。
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