研究課題/領域番号 |
23560939
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
谷口 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00163634)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 抗菌成分 / ペプチド / タンパク質 / 歯周病 / 作用機構 / 日和見感染菌 |
研究概要 |
米由来の抗菌タンパク質・ペプチドの精製と同定およびヒト病原菌に対する抗菌作用機構の解明について検討し、本年度は以下の結果が得られた。1.米由来の酵素の部分配列であるCL(14-25)が、歯周病菌に対して抗菌活性を示すことを既に見出している。そこで、CL(14-25)の抗菌作用機構を解明するために、蛍光色素であるdiSC3-5を用いて細胞膜への作用を検討した。その結果、N末端から2番目のアルギニンとC末端から2番目のアルギニンが抗菌活性の発現に大きく寄与していることが明らかとなった。また、単一巨大ベシクル(人工リン脂質二重膜)を用いて細胞膜への作用を検討した結果、CL(14-25)を添加した4-5分後に破裂したことから、CL(14-25)は、細胞膜を破壊することによって歯周病菌を殺すことが示唆された。2.抗菌ペプチドの細胞内標的を明らかにするために、無細胞タンパク質合成系を利用したアッセイシステムを部分的に開発した。すなわち、抗菌ペプチドがタンパク質合成(転写と翻訳)と折りたたみのどちらの段階を阻害するのかを判定できるようになった。3.新たに緩衝液を用いて砕米から抽出したタンパク質溶液から各種クロマトグラフィーや電気泳動を用いて、歯周病菌に対して抗菌性を示す1種類のタンパク質成分を単一にまで精製できた。飛行時間型質量分析計を用いて、この成分の分子量を精確に求めることができ、この成分はヒートショックプロテイン70ホモログと同定することができた。また、このタンパク質の部分配列であるペプチドHsp70(241-258)は、歯周病菌と日和見感染菌に対して抗菌活性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究の目的は、1)米由来抗菌タンパク質・ペプチドの網羅的な単離・精製と同定、2)細胞膜を標的とした殺菌作用機構を解明するためのアッセイシステムの開発、および3)細胞内容物を標的とした殺菌作用機構を解明するためのアッセイシステムの開発であった。本年度の研究において、細胞膜を標的とした殺菌作用機構を解明するためのアッセイシステムを確立し、米由来の抗菌ペプチドの歯周病菌に対する抗菌作用は、細胞膜の破壊に起因することを明らかにできた。また、細胞内標的に対する作用機構を明らかにするための評価システムを部分的にではあるが開発できた。さらに、新しい抗菌ペプチドを発見し、歯周病菌と日和見感染菌に対して抗菌活性を示すことを明らかにした。以上より、研究の初年度の目的は概ね達成できたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究の目的に沿って、新しい米由来抗菌ペプチドの探索と同定を継続して実施し、また細胞膜への作用と細胞内標的への作用に区分して、それぞれ抗菌作用機構を解明するための評価手法を完成させる。さらに見出した抗菌ペプチドの抗菌スペクトルを明らかにし、ヒト病原菌に対して抗菌活性を示す有用なペプチドを探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗菌タンパク質やペプチドの精製をより精密にかつ簡便迅速に実施するために、フォトダイオードアレイ検出器を購入する計画である。また、微生物培養用の試薬、抗菌活性測定用試薬、質量分析用試薬などを購入する計画である。さらに研究成果を発表するために旅費を計上する計画である。
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