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2012 年度 実施状況報告書

抗菌米タンパク質成分のヒト病原菌に対する殺菌作用機構の解明と食品医薬品への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23560939
研究機関新潟大学

研究代表者

谷口 正之  新潟大学, 自然科学系, 教授 (00163634)

キーワード抗菌ペプチド / カチオン性ペプチド / ヒートショックタンパク質 / 歯周病 / 作用機構 / 日和見感染真菌
研究概要

米由来の抗菌タンパク質・ペプチドの精製と同定およびヒト病原菌に対する抗菌作用機構の解明について検討し、本年度は以下の結果が得られた。
1.米由来のヒートショックプロテイン70ホモログの部分配列であるペプチドHsp70(241-258)は、歯周病菌と日和見感染真菌に対して抗菌活性し、その50%増殖阻害濃度(IC50)は、それぞれ63μMと70μMであることを明らかにした。
2.Hsp70(241-258)の歯周病菌に対する抗菌作用機構を解明するために、Calceinを封入したベシクルの崩壊試験および蛍光色素であるdiSC3-5を用いた細胞膜脱分極アッセイについて検討した。その結果、Hsp70(241-258)は濃度に依存して、細胞膜に対する作用が強くなることが明らかとなった。すなわち、Hsp70(241-258)は歯周病菌の細胞膜に作用して抗菌作用を示すことが示唆された。また、Hsp70(241-258)の日和見感染真菌に対する抗菌作用機構を解明するために、Calcein-AMを用いた細胞膜透過試験および蛍光色素であるPIを用いた核酸染色アッセイについて検討した。その結果、両試験において、Hsp70(241-258)は細胞膜を破壊することによって日和見感染真菌を殺すことが示唆された。
3.抗菌ペプチドの細胞内標的を明らかにするために、無細胞タンパク質合成系を利用したアッセイシステムおよびルシフェラーゼを用いた折りたたみを判定するシステムを開発した。すなわち、抗菌ペプチドがタンパク質合成の転写、翻訳、折りたたみのどの段階を阻害するのかを判定できるようになった。実際に、Buforin-IIは転写と翻訳ばかりでなく、折りたたみも阻害することを新しく解明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究の目的は、1)米由来抗菌タンパク質・ペプチドの探索と同定、2)細胞膜を標的とした殺菌作用機構を解明するためのアッセイシステムの開発、および3)細胞内容物を標的とした殺菌作用機構を解明するためのアッセイシステムの開発であった。本年度の研究において、新しい抗菌ペプチドを発見し、歯周病菌と日和見感染真菌に対して抗菌活性を示すことを明らかにした。また、Calcein-AMおよびPIを用いた細胞膜を標的とした殺菌作用機構を解明するためのアッセイシステムを新たに確立し、米由来の抗菌ペプチドの歯周病菌および日和見感染真菌に対する抗菌作用は、細胞膜の破壊に起因することを明らかにできた。さらに、細胞内標的に対する作用機構を、転写、翻訳、折りたたみに分けて明らかにするための評価システムを開発できた。以上より、研究の24年度の目的は概ね達成できた評価できる。

今後の研究の推進方策

当初の研究の目的に沿って、新しい米由来抗菌ペプチドの探索と同定をさらに継続して実施し、また細胞膜への作用と細胞内標的への作用に区分して、新しい抗菌ペプチドの抗菌作用機構を解明する。さらに見出した抗菌ペプチドの抗菌スペクトルを明らかにし、ヒト病原菌に対して抗菌活性を示す有用なペプチドを探索する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Antimicrobial activity and mechanism of action of a novel cationic α-helical dodecapeptide, a partial sequence of cyanate lyase from rice.2013

    • 著者名/発表者名
      Norihiro Takei
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: April ページ: 55-62

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.peptides.2012.12.015

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規米由来ペプチドの病原微生物に対する抗菌活性とその作用機構の解明

    • 著者名/発表者名
      池田 篤夫
    • 学会等名
      日本生物工学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] 無細胞タンパク質合成系を用いた抗菌ペプチドの作用機構の解析

    • 著者名/発表者名
      近藤 裕志
    • 学会等名
      日本生物工学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] 無細胞タンパク質合成システムを用いたタンパク質合成に対する抗菌ペプチドの阻害効果

    • 著者名/発表者名
      石山洋平
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      東北大学

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公開日: 2014-07-24  

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