研究課題/領域番号 |
23560940
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
VESTERGAAR d.C 北陸先端科学技術大学院大学, 大学院教育イニシアティブセンター, 特任准教授 (20582943)
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キーワード | アミロイドβ / 生体模倣膜 / アルツハイマー病 / 電気化学 / 生体模倣センサー / 膜ダイナミクス |
研究概要 |
細胞膜にアミロイドβ(Aβ)がどのように作用するかを明らかにしたことに続いて、アミロイドβによる細胞膜の変形は、細胞膜の融合かより小さな脂質ベシクルが大きなベシクルと合体することにより引き起こされることを明らかにした。これらの成果をまとめたものは Vestergaard et al.,2013 誌に掲載され、2013の国際学会でも発表された。この研究は、天然あるいは人工のコレステロールを含む細胞膜のダイナミクスの温度依存性の研究につながり、コレステロールの酸化は、膜をより流動的にすること、温度が高いほどその効果が高い事が明らかになった(Yoda et al.,2013)。また、酸化コレステロールがAβ誘起細胞ダイナミクスに及ぼす効果についても調べた。初期的な結果として、酸化コレステロールを含む細胞膜はAβとより速く結合し、またより速く不安定化させる事を示した. 神経保護剤の可能性を探る研究計画については、細胞膜と天然植物性2次代謝物(polyphenols)との相互作用を調べた。選択したpolyphenol類について相互作用を詳細に調べ、細胞膜の構造/性質は、構造に起因することを示した。これらの成果は、国際会議で発表され、さらに新たな発見を加えて、国際誌 (In preparation)に投稿中である。関連研究として、これらのpolyphenolsとAβペプチドの相互作用も調べており、Polyphenolは神経毒性と関係するペプチドの凝集を濃度依存的に阻害することがわかった。バイオミメティック電気化学センサの開発の為に、インピダンス計測モジュールを設置し、Aβと反応後のpolyphenolsの、酸化還元挙動の変化を解析し出したところである。現在、酸化還元電位に変化はあるか、芳香族骨格についた官能基と関係があるかどうかを調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全て申請書で設定したゴールに基づいて評価する。ほとんどの成果は、既にまとめて、国際学会と良質な国際誌に投稿し、ピアレビュー後、アクセプトされている。学会の反応は圧倒的にポジティブである。I have also used the fact that the work has received wider interest to peers, to self-evaluate the progress of the research. 目標に対する達成度は85%。電気化学に基づく解析は、装置の立ち上げに想定より時間がかかったが、既に測定に入っており、すみやかな進展が予想できる。また、予定していなかった関連する今日おづ研究も始めた。これは、電極表面での触媒の増強効果に関するもので、電極表面反応の理解を深めてくれるものである (Hoa et al., J. Materials Chemistry, 2012 and Hoa et al., J. Electrochemistry Society, 2013)。 Tこれは私が追及しているナノベースバイオミメティックセンサーの開発に大きな助けとなると考えられる。総括して進捗はとても良好である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、この研究は大きく2つのカテゴリに分けられた。タンパクの折りたたみ異常に起因する病変に関係した、生体分子同士の相互作用のメカニズムの解明と、これらのメカニズムの高感度な検出を行う解析ツールの開発である。特に、(1) 神経保護剤と(膜中の)Aβとの相互作用の研究を続ける。主にPolyphenolsに注目し、酸化還元電位の変化と、それらが芳香族骨格についた官能基にどのように影響されるかについて調べる。これらの薬剤によりAβがどのようなモフォロジを形成するかその変化を画像により確かめる。これらにより、 (i)抗凝固剤として有効な官能基の位置(ii) どのように凝固を抑えるか等の重要な情報が明らかになると期待できる。これらの情報は、所望の特性をもったペプチドを設計・合成するのに役立つと考えられる。また、我々はAβと膜脂質を使った、polyphenolsの神経保護の可能性についても調査する。そのためには、より生理環境に近い条件で実験ができるようにしていく必要がある。実験は顕微鏡下で電気化学的に行う。(2)酸化した膜とAβの間の関係についての実験も続ける。(3) AβやAmylinを含むたんぱく質の検出の為に、 細胞膜に基づいたナノバイオセンサツールの開発も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年以降の予算計画 2013-2014年 試薬 (200,000); 電極システム (150,000); ナノ材料 (100,000); 論文投稿 (公開費と印刷費) (50,000).
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