研究課題
酵素合成では,加水分解酵素,アミノ基転移酵素,アミン酸化還元酵素が主に用いられており,動的光学分割法やカルボニル化合物からアミン変換(不斉合成),光学活性アミンのデラセミ化などによる効率的な光学活性アミン合成法が提案されている。一方,酵素的イミン不斉還元は,効率的な光学活性アミン合成法であり,イミン還元酵素の発見が切望された。しかしながら,大半のイミンが水系で不安定であることが酵素探索の大きな障害であった。そこで本申請者は,水系で安定な環状イミン2-メチル-1-ピロリン(2-MPN)を用いたスクリーニングを試み,世界に先駆けてエナンチオ選択的イミン還元活性菌の取得に成功した。活性菌のうち,最も高い(R)-エナンチオ選択性を示すStreptomyces sp. GF3587と,唯一,(S)-エナンチオ選択性を示すStreptomyces sp. GF3546を選択し,(R)-と(S)-イミン還元酵素(RIR(GF3587)とSIR(GF3546))を精製し特性解析した。その結果,RIRの比活性(10.2 units/mg)は,SIR(0.12 units/mg) より約80倍高いことが判明した。一方,基質特異性は,SIRがRIRより広く,Δ1-ピロリン-2-カルボン酸やイソキノリン類に作用することを明らかにした。N末端および内部アミノ酸解析情報をもとに,両酵素遺伝子のクローニングを行い,RIRとSIR遺伝子の配列を決定した。RIRとSIRの一次構造について相同性解析を行ったところ,高い相同性を示す酵素は見られず、どちらも新規酵素の可能性が強く示唆された。RIRとSIR遺伝子を発現用ベクターに組み込んだ組換え菌作製を行い,それらの菌体を用いて光学活性アミンの合成を行った。
すべて 2013
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Appl. Microbiol. Biotechnol.
巻: 97 ページ: 8079-8086
10.1007/s00253-012-4629-4