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2011 年度 実施状況報告書

バクテリア多面体オルガネラ蛋白質の相互作用機構の解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 23560943
研究機関岡山大学

研究代表者

飛松 孝正  岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (30188768)

研究分担者 森 光一  岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50379715)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードバクテリア多面体オルガネラ / pduオルガネラ / ジオ ールデヒドラターゼ / 酵素システム
研究概要

pduオルガネラ代謝の鍵酵素である補酵素B12 関与ジオールデヒドラターゼ(DD)は主要酵素であり、この酵素との相互作用の仕組みの解明が本研究の中心的存在である。DDは反応触媒中に補酵素が高頻度に不活性化され、補酵素の再生系は代謝の維持に必須である。また、これらを担う酵素群はシステムとして働くと考えられるが、これまで精製酵素系での再構成もされていなかった。そこで、酵素間の相互作用解明の第一歩として、この再生系の再構成に取り組んだ。その結果、ATP、MgCl2、還元剤FMNH2および再活性化因子(DDR)やPduOアデノシルトランスフェラーゼの共存で不活性化ホロDDから活性のあるDDが再生されることが示された。さらに、このPdu再生系がシステムとして働き、酵素相互作用の解析に用いうることを明らかにした。PduP のN 末端ペプチドに加えてDDのβサブユニットのN 末端ペプチドもpduオルガネラへの組み込みシグナルとして働くことが報告され、我々が相互作用の解析を進めていたDDがオルガネラ酵素相互作用の中心的存在であることが示された。そこで、相互作用の中心的の役割を担うと考えられるβおよびγサブユニットのN 末端ペプチドの相互作用の様式を、酵素の低溶解性化を指標にして調べた。その結果、βとγという異なるサブユニットのN 末端ペプチド間が相互作用するのではなく、同種のサブユニットの末端ペプチド同士が相互作用してDDが集合することが示された。多面体オルガネラの大腸菌発現系としては、pET21bベクターにpduオペロン全体を組み込んだ発現系やpUC119ベクターにeutオペロン全体を組み込んだ発現系を作成した。現在、大腸菌での発現を確認している。また、将来の応用を考え、補酵素の不活性化が起こりにくい変異体DDの作成や、低溶解性化グリセロールデヒドラターゼの組み込みの準備も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はDDの集合体の形成がジオールデヒドラターゼ(DD) のβサブユニットのN 末端ペプチド同士およびγサブユニットのN 末端ペプチド同士の相互作用を介して起こることと、再活性化因子(DDR)やPduOアデノシルトランスフェラーゼがDDとシステムを形成して働いていることを明らかにした。DD のβサブユニットのN 末端ペプチドがpduオルガネラへの組み込みシグナルとして働くという報告があるので、DDが集合体を形成するということはオルガネラ酵素群の組み込みにDDが中心的な役割を果たすことが示唆している。DD のβおよびγサブユニットのN 末端ペプチドの機能を明らかにできたことは、本研究を遂行する上での重要な発見をすることができたと考えている。pduオペロンやeutオペロンの発現系の構築も、20kbを超える大きさのDNA断片の遺伝子組み換え操作を行うことが必要であったにも関わらず順調に進んでいる。オルガネラの応用のための不活性化されずらい酵素の作成やDDの等機能酵素で不活性化反応を受けずらいグリセロールデヒドラターゼの組み込みのための準備も進んでいる。以上より、おおむね順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

本年度の研究とジオールデヒドラターゼ(DD) のβサブユニットのN 末端ペプチドがpduオルガネラへの組み込みシグナルとして働くという報告から、DDがオルガネラ酵素群の組み込みに中心的な役割を果たすことが示されているので、今後もDDとの相互作用の解明を中心に据えて研究を進めてゆきたい。つまり、まずDDと相互作用する酵素やタンパク質を検索する。さらに欠失変異株を作成するなどして、相互作用部位の同定を進めてゆく。とくに、集合体形成に重要な役割が示されているDDのβおよびγサブユニットのN 末端ペプチドとの相互作用の有無を、これらの領域を欠失させたDD変異体などを用いることで検索する。また、大腸菌に発現させたオルガネラの確認を行う。発現を確認できたら、簡便な確認法や精製法を確立し、オルガネラへの組み込み確認を容易にできるようにして、オルガネラへの組み込みに必要なタンパク質の相互作用領域を明らかにする。それと同時に、化成品生産へのオルガネラの利用への道が開けるように、オルガネラに組み込む酵素群の準備もおこなう。

次年度の研究費の使用計画

研究費は研究遂行に必要な試薬や器具類の購入や成果発表のための出張旅費や投稿料などに用いる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Redesign of coenzyme B12 dependent diol dehydratase to be resistant to the mechanism-based inactivation by glycerol and act on longer chain 1,2-diols.2012

    • 著者名/発表者名
      Yamanishi M, Kinoshita K, Fukuoka M, Saito T, Tanokuchi A, Ikeda Y, Obayashi H, Mori K, Shibata N, Tobimatsu T, Toraya T.
    • 雑誌名

      FEBS J.

      巻: 279 ページ: 793-804

    • DOI

      10.1111/j.1742-4658.2012.08470.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] ジオールデヒドラターゼ活性維持システムの一員としてのPduO蛋白質の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      田野口亜耶, 山崎監, 小倉謙一, 中村雄大, 飛松孝正, 虎谷哲夫
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011.9.22
  • [学会発表] B12補酵素関与エタノールアミンアンモニアリアーゼの活性部位アミノ酸残基の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      大岩敏宏, 高橋佑典, 近藤恭介, 森光一, 虎谷哲夫
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011.9.22

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公開日: 2013-07-10  

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