研究課題
色素依存性デヒドロゲナーゼ(Dye-DH)は、バイオセンサーやバイオ電池素子としての利用が期待できる。しかし常温生物由来の酵素は総じて不安定であり、応用開発は遅れている。一方、90℃以上の高温環境に生息する超好熱菌には、安定性の高いDye-DHが存在しており、応用面で優れた潜在性を持つことが判明している。本研究では、超好熱菌のゲノム情報から存在が推定された各種Dye-DHについて機能・構造解析を行い、電極素子としての有用性を検討し、主に以下の成果を得た。(1)D-フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ【最終年度実施】、3種のD-乳酸デヒドロゲナーゼ(DLDH)、L-プロリンデヒドロゲナーゼ(LPDH)を見出し、酵素化学的性質を詳細に調べ、酵素間で比較検討した。(2)ホモダイマー型LPDHの結晶構造解析に成功した。L-プロリンの活性中心への保持にC-末端のLeuが重要な役割を担っているという新たな知見を得た。本成果は、国際的に著名な生化学雑誌であるJ. Biol. Chem.に掲載された。DLDHについては、結晶作成に成功し、X線解析用の初期データを得た。これまで本酵素の構造解析例は大腸菌由来の酵素しか無く、超好熱菌由来酵素の特徴解明が期待できる【最終年度実施】。(3)マルチ銅オキシダーゼ(McoP)を物理吸着させた電極を作成した。バイオ電池のカソード用素子として有用性の高い酵素であることが判明した。(4)色素依存性アルドースデヒドロゲナーゼの固定化電極作成に成功した。カーボンナノファイバー、ベンゾキノンおよび本酵素をアガロースゲルと混合し、90℃の高温条件下でカーボンペースト電極にスピンコーティングした。電極はグルコースに対して30日以上安定したレスポンスを示し、センサーとしての有用性が確認できた。超好熱菌酵素の耐熱性を利用した固定化法として注目されている【最終年度実施】。
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