研究課題/領域番号 |
23560947
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
天尾 豊 大分大学, 工学部, 准教授 (80300961)
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キーワード | 人工光合成 / 二酸化炭素還元 / 人工補酵素 / ソーラー燃料生成 |
研究概要 |
平成23年度に得られた成果を基に24年度はクロロフィル誘導体クロリンの亜鉛錯体をベースとした光捕集部位とイミダゾール部位を有するアルキル鎖長の異なる(鎖長3から6)ビオローゲンをベースとした人工補酵素部位とを配位結合及びイオン結合を介して複合化した光捕集ー人工補酵素複合体の合成に成功し,これら分子の光化学的な性質を紫外-可視吸収スペクトル及び定常蛍光分光法を利用して明らかにした.その結果光励起した光捕集部位から人工補酵素部位への光誘起電子移動反応速度は人工補酵素内のアルキル鎖長に大きく依存することが明らかとなった.さらに二酸化炭素をギ酸に変換する反応を触媒するギ酸脱水素酵素に有用な人工補酵素について4,4'-ビピリジン(ビオローゲン)をベースにしたものよりも活性が高いと期待される2,2'-ビピリジンをベースにした各種人工補酵素分子の合成,キャラクタリゼーション及びギ酸脱水素酵素に対する親和性を検討し,ビオローゲンをベースにした人工補酵素よりも高い親和性,ギ酸脱水素酵素を活性化することを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は23年度に得られた成果を十分に活用し当初の計画通りクロリンの亜鉛錯体をベースとした光捕集部位とイミダゾール部位を有するアルキル鎖長の異なるビオローゲンをベースとした人工補酵素部位とを配位結合及びイオン結合を介して複合化した光捕集ー人工補酵素複合体の合成及びギ酸脱水素酵素に有用な人工補酵素部位の創製について十分な成果が得られたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は24年度に引き続き「光捕集分子・人工補酵素・ギ酸脱水素酵素複合体の創製と光エネルギーによる二酸化炭素のギ酸への光還元反応系の確立」を目指す.24年度の後半で着手した「光捕集分子・人工補酵素・ギ酸脱水素酵素複合体」の合成に関する研究をさらに進め,さらに複合体内での光誘起電子移動過程について所有の蛍光寿命測定装置を用い解析し,光捕集分子からギ酸脱水素酵素部位までの間の分子間距離を最適化することにより高効率な電子移動を達成する.こうした基礎的データの蓄積から,光エネルギーを駆動力とした二酸化炭素のギ酸への分子変換反応系を確立する.最終年度であるので,得られた成果総括するとともに,内外の関連学会等で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は前年度までの残金を含めて物品費667,274円を試薬、ガラス器具、酵素類購入に充当し、旅費568,450円を学会発表のための出張旅費,研究調査のための出張旅費,人件費294,700円を実験補助への謝金、その他 185,000円を論文掲載費や学会関連費用に充当する.
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