研究概要 |
平成23-24年度の研究成果をもとに、HepG2細胞を利用して、6銘柄の市販野菜ジュースが示すペルオキシラジカルに対する抗酸化性を評価した。野菜ジュースは15℃、10,000 rpmで1分間の遠心分離操作を行い、上清を回収した。上清はクリーンベンチ内でフィルター滅菌を行った。さらに、超純水で1/10, 1/100, 1/1000に希釈して実験に用いた。HepG2内でDCFHがペルオキシラジカルとの反応によって発生する蛍光強度をどれだけ抑えることができるか(蛍光抑制率)を指標に野菜ジュースの抗酸化性を判定した結果、蛍光抑制率が70%以上となる強い抗酸化性を示すもの3銘柄と蛍光抑制率が50%以下の弱い抗酸化性をしめすもの3銘柄に分類できた。各野菜ジュースはニンジン、トマト、ホウレンソウなどの野菜を基本成分として、さらに抗酸化性が高いと評価されている野菜(モロヘイヤ、チンゲンサイなど)を強化したり、果実類(レモン、アセロラなど)を添加したりしたものである。抗酸化性が高い銘柄に特徴的に含まれる成分は公にされている資料からは見出すことができなかった。野菜ジュースに含まれる成分量の違いなどが抗酸化性の評価結果に影響を与えているものと推察できた。 平成23-25年度の研究を通じて、HepG2細胞を利用して抗酸化性を評価する手法を改良することができ、改良した手法を適用して、フェルラ酸、アスコルビン酸などの純物質が示す抗酸化性、白菜、大根、ホウレンソウ、タマネギなどの野菜類、多くの野菜、果実類を含む野菜ジュースの抗酸化性を明らかにすることができた。本研究で検討した手法を使って、多くの食品類がペルオキシラジカルに対して示す抗酸化性を明らかにすることができると期待される。
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