研究課題/領域番号 |
23560958
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
名取 通弘 早稲田大学, 理工学術院, 研究員 (00013722)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 展開型膜面モジュール / 断続展開 / 振動特性 / 自動組み立てシステム |
研究概要 |
本研究は、階層モジュラー構造の概念に展開型膜面モジュールを導入し、それを宇宙構造物システムの構築に適用してその有用性を明らかにしようとするものである。研究は 大別して(1)展開型膜面モジュールの検討,(2)自動組立の動作計画の検討、(3)軌道上構築のシミュレーションの3項目からなっている。その中でも(1)は本研究の中心かつ基本となる検討なので、展開のアクチュエータでもあり展開後には主要構造部材でもある伸展ブームについて基本的な検討を行った。近未来での実現性を重視すると、インフレータブルチューブブームや形状記憶材料を含む伸展ブームなどは必ずしも利用可能ではなく、従来からあるカーペンターテープブームの利用が適切であろうと判断し、それによる概念モデルの基本的な試作検討を行った。そのような部材は収納状態を解放すると瞬時に展開してしまうので、順次に展開させる断続展開の概念を提示し、簡単な事前モデルを試作して次年度に試作予定のモデルについての基本的なデータを得ることができた。(2)(3)については、多数の均質なモジュールによる構造物システムの分散化と複数の作業ロボットの使用による組立システムの分散化を図り、従来の高機能ロボットアームによる組立システムとは異なる宇宙構造物の構築法を提示しようとしている。その第一歩として中央集権的な方法とセルオートマトンに代表されるような自律分散的な構築方法とについて、初期に集積した形状から直列状の形状(開ループ形状)への自動組立についてのアルゴリズムを検討中である。 (1)の展開型膜面モジュールは、単独でもブームと膜面からなる宇宙構造物の基本要素として利用可能なので、展開後の構造特性 (基本振動数) を明らかにすることが重要である。また膜面のリンクルの効果を含めての解析が必要と思われ、それらのための計算プログラムの検討も行い適切なブーム配置の問題等にアプローチできるようにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要 に記した (1)については当初の計画以上に構造物システムの剛性評価にまで検討範囲を広げることができたが(3)はやや遅れ気味である。
|
今後の研究の推進方策 |
展開膜面モジュール単体の検討を進める中で、この分野の現在の研究状況が、ブームと膜面とからなる構造物としてそれら構造要素の適切な組み合わせなどについて不十分であることが判明してきたので、それらをも明確にしつつ、当初の研究方針に沿って研究を進めたいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度試作した伸展ブームモデルによって得られた基本的データに基づき,さらに改良を加えた次年度モデルを試作する製作費用として使用する.また,解析用の計算プログラムを構築するためのコンピュータ関連機材の購入,研究過程で得られた成果を発表するための学会参加費用として使用する.
|