研究課題/領域番号 |
23560958
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
名取 通弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00013722)
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キーワード | 展開型膜面モジュール / 断続展開 / 振動特性 / 自動組み立てシステム |
研究概要 |
本研究は、階層モジュラー構造の概念に展開型膜面モジュールを導入し、それを宇宙構造物システムの構築に適用してその有用性を明らかにしようとするものである。研究は (1) 展開型膜面モジュールの検討、(2) 自動組立の動作計画の検討、(3) 軌道上構築のシミュレーションの3項目からなっている。 (1) は本研究の中心となる検討で、展開のアクチュエータでもあり展開後には主要構造部材ともなる伸展ブームとして、カーペンターテープを二枚組紐でまとめた新しい概念のBi-Convexブームの使用を検討した。展開は収納時に蓄えられた弾性エネルギーを断続的に開放することで、特段のアクチュエータを必要としないもっともシンプルな展開方式となる。平面充填および双対関係を含む幾何学的考察により、正六角形 (正三角形) あるいは正四角形形状のモジュールの設計を行って、それらを試作した。ブームはモジュール中心に位置させた構体の周りに巻かれて収納される。また同時に Bi-Convex ブームの三点曲げ試験および振動試験を実施し、それらの基礎的な構造特性を明らかにした。 (2) については、中央集権的な自動組み立ての方法と自律分散的な構築方法とについて、初期に集積した形状から直列状の形状(開ループ形状)への自動組立についてのアルゴリズムを開発した。また、それら開ループ形状から閉ループ形状の自動構築について開発したアルゴリズムがそのまま適用可能かどうかを検討中である。 (3) については、(1) で検討したモデルには中心構体が回転できるような機構を付加した設計を取り入れて、軌道上においてブームが展開するさいにその反力によりモジュール自身が回転する影響を考慮できるようにした。中心構体の角速度などのデータ取得により、中心構体の自由回転を含むようなモジュールの展開解析のシミュレーションを次年度に実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は将来の超大型宇宙構造物システムを念頭に置きつつ、近未来の効率的な宇宙構造物にも直接的に役立つハードウエアを提供しようとするもので、当初はインフレータブルブームの実用化や膜面とブームの複合解析など多くの構造工学上の未解決課題を含む研究課題であった。今年度よりはインフレータブルブームに代わって新たに Bi-Convex ブームを導入することで、対象とする展開型膜面モジュールの設計を具体化することができ、それにより実験室規模のモデルとして十分に剛性の高いモデルを提示できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
展開膜面モジュール単体の検討では今年度試作したモデルの詳細な展開解析を実験および理論の両面から追及する。また、(2)、(3) では今年度までに開発できたモデルの試験やアルゴリズムの実行をおこなって、当初に掲げた研究目標の実現を図るつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
展開試験のさいの通信機器や解析用のディジタルカメラなどの購入、また研究過程で得られた成果を発表するための学会参加費用として使用する.
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