研究課題/領域番号 |
23560960
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
市川 朗 南山大学, 情報理工学部, 教授 (00115437)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 楕円制限3体問題 / フォーメーション / 総速度変化 |
研究概要 |
1.楕円制限3体問題について:楕円制限3体問題の運動方程式は平衡点を持たないが、これを楕円の動径で正規化すると円制限3体問題のラグランジュ点が平衡点となることを示した。この方程式と円制限3体問題のラグランジュ点における広義ハロー軌道を用いて、楕円制限3体問題の広義ハロー軌道を生成する方法を提案した。さらに得られた軌道を維持するために必要な制御法と総速度変化を求めた。この広義ハロー軌道は中・短期のミッションに適している。2.楕円軌道上のフォーメーション問題について:楕円軌道上の相対運動方程式は、楕円軌道の動径と真近点離角を係数にもつため、その線形化方程式の周期解も複雑となる。面内運動の周期解について、その大きさと軌道上の位置を表すパラメータを用いて、グラフ的に周期解を生成する方法を提案した。また、周期解の初期条件を与える式を導出した。得られた結果は論文としてAIAA Journal of Guidance, Control, and Dynamics に掲載が決定している。3.入力の大きさに制限のあるフォーメーション問題について:通常フォーメーションにおける制御の評価関数は燃費を表す総速度変化であるが、推力の大きさも実用上重要である。そこでこれらの2つの要素を考慮したフォーメーション問題を考察し、与えられた使用を満たす設計法を提案した。得られた結果はAAS/AIAA Astrodynamics Specialist Conference (Alaska, 2011.8)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.楕円制限3体問題について:楕円制限3体問題におけるラグランジュ点の意味と役割が明らかになるとともに、その近傍における広義ハロー軌道の生成と維持法が得られたので、この研究の目的はほぼ達成された。今後は広義ハロー軌道の生成と制御法の一般化が残されている。2.楕円軌道上のフォーメーション問題について:当初の課題は、インパルス制御によるフォーメーションであったが、その基礎となる周期軌道の生成が可能となり、その性質も明らかになった。独立変数を時間をとることができ、従来と異なり直接フォーメーション問題を考察できることになった。今後は、インパルス制御にこの結果が利用できるか考察する。3.入力の大きさに制限のあるフォーメーション問題:この問題は当初の課題には入っていないが、実用上重要な課題であり、楕円軌道上のフォーメーションにおいても考察が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
例年AIAA/AAS 主催の夏のAstrodynamics Specialist Conferenceに参加・発表している。冬のSpace Flight Mechanics Meetingへの参加も計画したが、年度末の多忙な時期であり、今年度は参加できなかった。今後の研究では広義ハロー軌道の生成と制御法の一般化が課題の一つである。この研究を進展させ、次年度は夏のAstrodynamics Specialist Conferenceに加え、10月のIAFのInternational Astronautical Congressに参加・発表を予定している。また、この研究をフォーメーション問題に反映させ、相対運動の周期軌道でない軌道を用いた能動的フォーメーションの研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の主たる部分は、予定している2つの国際会議参加に充てる。特に次年度への繰り越し金はこの参加のための補充費となる。残りの研究費は、予定通り図書購入やデータ整理のために使用する。
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