研究課題
本研究課題は,船舶主機関のディーゼルエンジンで使用される重質燃料(C重油)に着目し,ジメチルエーテル(DME)を混合することで噴霧や燃焼の特性を改善することを目的にしている.最終年度は液化DME/舶用燃料の混合燃料をディーゼルエンジンに適用する研究を行った.その結果,以下の成果を得た.1.硫黄化合物が混合燃料燃焼に与える影響これまでの研究では,液化DMEを化石燃料に混合することで燃焼改善ができることを示してきが,舶用燃料で問題となる燃料中硫黄成分の影響が明確ではなかった.そこで,燃料に模擬硫黄成分(ジターシャリーブチルジスルフィドDBDS)を混合することで硫黄含有量を調製し,ディーゼル燃焼に与える硫黄分の影響を検討した.その結果,燃料中の硫黄分が増加すると燃料噴射期間と燃料消費率は増加し,その一方で着火遅れ期間は減少するという結果を得た.また,燃料中の硫黄分が増加しても,DMEを混合することでNOxとPMの排出量が減少するという結果を得た.2.エンジンにおける燃焼試験本研究室で所有する中型の予燃焼室式ディーゼルエンジンにおいて,DME/C重油混合燃料の燃焼試験を行った.DMEのC重油に対する混合率を重量割合で0,10,30%と変化させ,混合率が燃焼状況に与える影響を解析した.その結果,C重油にDMEを混合することで燃焼特性および排ガス特性が大きく変わることが確認された.DMEを混合することで環境有害物質の低減効果が見られ,CO,HC,PMに関しては大幅に低減できた.さらに地球温暖化の原因となるCO2も低減でき,熱効率が向上することも明らかになった.これらより,DMEはエンジン性能を保ちながら排ガス中の有害成分の低減に貢献できると言える.ただし,NOxは増加する傾向にあったため,この低減の可能性を検討することが課題である.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Technical Paper Series of Society of Automotive Engineers (SAE)
巻: No.2013-01-2659 ページ: 1-10
日本マリンエンジニアリング学会誌
巻: Vol.48 No.5 ページ: 676-683