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2012 年度 実施状況報告書

クローラ型ROVの実海域走行性能評価手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560970
研究機関神戸大学

研究代表者

勝井 辰博  神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (80343416)

研究分担者 井上 朝哉  独立行政法人海洋研究開発機構, その他部局等, 研究員 (10359127)
キーワードROV / クローラ / ケーブル張力
研究概要

本研究は、クローラ型ROVの海底走行特性評価法を確立しROV設計の高度化に資することを目的とするものである。当該年度は海底を走行中のROVに作用するケーブル張力がROVの走行特性に与える影響を明らかにし、ROVの形状、重量分布、排水量分布、ケーブルの材質、重量、長さ等の設計パラメタに対して、ROVが安定して走行できる速度や領域を評価し、それを簡易模型試験によって検証することを目的とした。
ROVに接続されたケーブルは電力供給、コマンド通信等の役割を担い、かつ高い耐圧性能を有する必要がある。したがって比較的高い剛性を有しており、それがROVに作用する張力に少なからず影響することがこれまでの小型実機試験で確認されている。本研究では水中下での弾性ケーブルの張力特性を精度よく評価することが可能な数値解析手法を開発し、これをこれまでに開発してきたクローラ型ROVの走行特性評価法に組み込むことで、ケーブル影響下でのROVの走行特性評価を実施した。小型水槽内でケーブルに接続されたROV模型を走行させ最大移動距離を計測し、本手法による推定結果との比較を行った。その結果、曲げ剛性が0のチェーンをケーブルとして用いた模型試験では、各種ケーブル長さ、ROV重量、重心位置、浮心位置に対して推定結果と計測結果は精度よく一致した。一方、弾性ケーブルを用いた場合では弾性影響によってROV本体にダウンフォースが生じることが数値解析によって確認され、このためROVの最大移動距離は曲げ剛性が無いケーブルに比べて大きくなるという推定結果が得られている。これについては、今後実験による確認を実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究の達成目標は、海底を走行するROVに作用する弾性ケーブル張力を精度よく評価汁数値解析手法を開発し、これをクローラ型ROVの走行特性評価法に組み込むことで、ケーブル影響下でのROVの可動範囲を精度よく推定する手法を確立することにある。このために弾性ケーブルの張力推定のためにケーブル要素の静力学的つり合い式を解く簡易計算法を開発している。これはニュートン法を用いて、任意のROV位置に対してケーブル形状、張力および曲げモーメント分布を求める独自の計算手法であり、安定した計算が可能である。この手法により求められたケーブル張力をクローラ型ROVの走行特性評価法に組み込むことで任意のケーブル長さ、重量、剛性に対して、ROVが海底で水平方向にどこまで移動可能であるかを推定する手法を確立している。この手法は、小型水槽を用いた、模型試験によって精度検証が実施されており、剛性のないチェーンをケーブルとして用いた場合では、様々なケーブル長さ、重量、ROV形状、重量分布、排水量分布に対しても本手法は精度よくROVの最大移動距離を推定できることが分かっている。このように、当初目的としたケーブル張力がクローラ型ROVの走行特性に与える影響を、妥当な精度で評価する手法を確立することが第一段階としては終了しているといえる。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると結論付けられる。

今後の研究の推進方策

昨年度に開発した、ROVに作用する弾性ケーブルの張力評価法とそれに基づくクローラ型ROVの走行特性評価法をさらに発展させること、およびその検証を本年度の研究の達成目標とする。具体的にはケーブル張力評価に関しては次の3つの項目について検討を行う。第1は海底にケーブルが接触する場合のケーブル張力の評価法の開発である。これは長いケーブルを使用する場合には頻繁に起こる状態であり、このような状況下でも精度よくケーブル張力を推定し、ROVの走行特性を評価する方法の開発を行う。第2にはケーブルの初期たわみの影響の評価である。ケーブルは通常巻かれた状態で保管されており、オペレーションの際に繰り出されて使用される。したがってケーブルには初期たわみが存在し、それがケーブル張力影響を与える。これを考慮することでROVの走行特性評価の精度向上が見込まれる。第3は、本ROV走行特性評価法の実験による検証である。昨年度までに曲げ剛性のないケーブルに関しては模型試験による検証が実施されており、本手法の妥当性が示されているが、弾性ケーブルを用いた実験を実施することでより詳細に本手法の検証を実施していく予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費の使用については、物品費としてはROV走行特性解析用ワークステーション、数値解析用コンパイラ、可視化ソフトウェア、模型試験用部品等への使用が予定されている。旅費に関しては国際会議での成果公表1回、国内打ち合わせ会議3回程度の支出を予定している。謝金にすいてはデータ整理の一部を依頼し、それに充てられる予定である。その他としては、国際会議登録料、論文投稿料への支出が予定されている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Numerical Investigation of Flow around a ROV with Crawler Based Driving System2012

    • 著者名/発表者名
      Tokihiro Katsui, Satoshi Kajikawa, Tomoya Inoue
    • 雑誌名

      Proceedings of the ASME 2012 31st International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering

      巻: (CD-ROM)

    • 査読あり
  • [学会発表] Numerical Investigation of Flow around a ROV with Crawler Based Driving System2012

    • 著者名/発表者名
      Tokihiro Katsui, Satoshi Kajikawa, Tomoya Inoue
    • 学会等名
      ASME 2012 31st International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering
    • 発表場所
      Rio de Janeiro
    • 年月日
      20120701-20120706

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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