研究課題/領域番号 |
23560971
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 美鶴 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 准教授 (10294258)
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研究分担者 |
藤田 浩嗣 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (60199338)
柳 東勲 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20608632)
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キーワード | 温室効果ガス / 船舶 / 排ガス / 亜酸化窒素 / 一酸化二窒素 / N2O / ディーゼル機関 / 地球温暖化 |
研究概要 |
温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)は二酸化炭素,メタンと並んで温暖化を引き起こすガスとして知られている.大気中のN2Oガスは極めて安定であり,地球温暖化係数はCO2の310倍である.現在大気中のN2O濃度は約310ppbVであるが,年0.2%~0.3%の増加率を示しており,産業革命以降約8%増加したと言われている.国内外の研究により,自動車用ディーゼル機関のN2Oの発生メカニズムは少しずつ解明されているが,低質燃料油を主燃料とする舶用ディーゼル機関でのデータは極めて少ない.本研究では,実船でのN2O定量計測により船舶からの排出量及び排出特性を調べた.また実験用ディーゼル機関を用いて,燃料の噴射パターンがN2O排出率に及ぼす影響を調べ,エンジン内部におけるN2Oの削減対策を検討した.実船実験においてN2O排出率を計測した結果, N2Oが温暖化に与える影響はCO2の10%程度であることが分かった.またN2O排出率の排出特性はNO排出率とは異なり,SO2排出率と類似な傾向が表れた.これは,排ガス中のSO2濃度がNO濃度よりも低いため,N2O の排出特性はSO2の影響を大きく受けているためと考えられる.HISを装備したディーゼル機関により,噴射パターンがN2O排出率に及ぼす影響を調べた結果,噴射及びAfter噴射の噴射量の増加すること,また,Afterの噴射時期を遅らせることにより,N2O排出率を低減できることが分かった. また海水電気分解スクラーバー法によるNOx除去装置で、同時にN2Oも除去されるかについて実験を行った。実験用ディーゼル機関からの排ガス中N2O濃度を除去装置前後で測定した結果、18~25%の濃度低下が認められた。しかし実用化が進められている触媒法などでは90%以上の削減効果が認められており、海水電気分解スクラーバー法は優位であるとは言いがたい。
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