研究課題/領域番号 |
23560974
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
金野 祥久 工学院大学, 工学部, 准教授 (60322070)
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研究分担者 |
松沢 孝俊 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (00443242)
宇都 正太郎 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (40358396)
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キーワード | 氷海船舶 / 小氷片密集水路 / 抵抗 / 密接度 / 模擬氷 |
研究概要 |
本研究は、船舶が小氷片密集水路を航行するときの抵抗の評価手法を確立することを目的とする。これまでの主に模型実験に基づく解析手法には、水路状態の評価手法が確立していないために定量的把握が不十分であり、このため実験の再現性も乏しいこと、およびその水路状態が船体抵抗に対する影響が未解明であるという課題があった。研究代表者が開発してきた数値解析技術、及び研究分担者の持つ画像解析技術および氷厚計測技術とを応用し、氷片の形状分布および密接度を定量的に把握する方法を開発することと、数値解析及び模型実験により水路内氷片分布の船体抵抗に対する影響を評価することにより上記課題を克服し、最終的には水路内抵抗を評価するプロトコルを確立することを目標とする。 平成24年度は、23年度に行った模型実験を数値的に再現することを目的とし、解析条件の検討等に取り組んだ。その結果、船体周りの流れ場を考慮した場合に、氷片運動が模型実験とほぼ一致することが分かった。 また、実船船型での解析を可能とするため、船型を表現する格子が小さく、格子数が非常に多い場合の解析に取り組んだ。船体格子が氷片サイズよりも小さい場合に、船体と氷片との接触点が増加するなどの理由から氷片が船体に貼りつくことが分かり、これを避けるための格子サイズに関する知見を得た。 上記の成果を基に、実船船型模型を用いた水槽実験データに対応した数値解析を実施した。その結果、水槽実験データを不確かさの範囲内でほぼ再現できることが分かり、解析手法が実船船型および模型氷を用いた実験にも対応できること、従って実船の性能解析に敷衍できる見通しを得た。 模擬氷を用いた実験の継続のため、平成24年度は新たに立方体形状のポリプロピレン製模擬氷を導入し、その性質を調査した。模型実験は実施できず、25年度の課題として残っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の研究計画における「解析条件のパラメタサーベイ」が順調に進展し、実船船型での水槽試験データとの比較にも取り組むことができた。しかし平成24年度は実験施設の都合から、「模擬氷/模型氷を用いた3次元密接度の計測および模型船抵抗試験」が十分に進展したとは言えない。このため計画よりやや遅れていると判断した。現在までに実験施設の利用計画が決まり、24年度中にできなかった実験も含めて25年度中に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
数値解析においては、実船船型データを用いた「解析条件のパラメタサーベイ」を継続する実験においては「模型氷を用いた3次元密接度の計測実験」および「模擬氷/模型氷を用いた3次元密接度の計測および模型船抵抗試験」に取り組む予定だが、平成23年度の実験成果から模型氷(水槽で製氷した氷)ではなく模擬氷(ポリプロピレン製)を用いた実験に切り換える。これらを総合し、「実験・解析手順の整理とルール化」に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
他予算で導入した画像取得用カメラを本研究で利用できるため、当初計画していた画像取得用高解像度カメラの導入を見送り、水槽実験用消耗品を購入する。また多数の実験・解析データの取得が見込まれるので、謝金(解析補助者)を当初計画より多く出費する予定である。 それ以外はおおむね申請時の計画通りに使用する予定である。
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