研究課題/領域番号 |
23560977
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研究機関 | 大島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
清水 聖治 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00243626)
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研究分担者 |
古賀 英司 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60311081)
笹 健児 広島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10360330)
角田 哲也 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00163056)
木村 安宏 大島商船高等専門学校, その他部局等, 講師 (10465916)
藤井 雅之 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70270337)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギ / 潮流発電 / 大畠瀬戸 / 潮流観測 / 潮流シミュレーション / ダリウス形水車 / 回流水槽 / 海上発電実験 |
研究概要 |
(1)大畠瀬戸の中心部である大島大橋の南側橋脚にて冬季の1ヶ月間ほど連続観測した.大潮時の最大流速は4~5 ノット,小潮時は2 ノット程度発生することが分かった.大潮の一日の潮流変化を海上保安庁の予測値と比較すると,転流時刻は良く一致するが,最大値付近は正弦変化の頭がつぶれたように頭打ちになり,予測値より小さい.観測への橋脚の影響が心配される.(2)南北に境界条件を設定した流れの数値シミュレーションを実施し,潮流の観測点にて観測値と実測値を比較した.流向は観測値よりも計算値の方がばらつきは大きくなっている.流速は計算値も大潮時で4~5 ノット,小潮時で2~3 ノットであり,観測値に近い値になった.また,大潮時の空間的な流速および流向の分布を整理した.この結果,大島大橋の真下ではなく,数百メートルほど東側に位置する航路の北側で流速が最も大きくなっていることが分かった.また大畠瀬戸の東側,西側の海域において本流とは逆の向きに流れが局所的に卓越しており,空間的に一様でない,渦を発生するような複雑な流れがある.(3)ダリウス形水車発電装置のプロトタイプを製作し,回流水槽で発電実験を行った.翼枚数は3枚と4枚,ソリディティは0.2~0.3,発電機は自転車用の単相交流発電機の2タイプ,風力発電用高効率3相交流の1タイプを試した.翼の幅やソリディティは大きい方が,また,発電機はコギングが少なくスムーズに回転するようが,起動流速が小さく,発電出力が大きかった.最も成績の良いプロトタイプは,起動流速0.5m/sで,その後,流速を下げても0.35m/sまで発電を維持できた.1.5m/sの流速のとき,4.2W発電し,そのときの全効率は10%にも及んだ.観測した潮流を用いて概算すると,このプロトタイプは,止まっていることがあまりないという意味で,実に潮流エネルギの99.7%を発電に利用できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
潮流観測ができたこと,シミュレーションができたこと,また,それらが概ね一致した値になったことからそれぞれ信頼できる結果を得たと言える.さらに,潮流の観測値と海上保安庁の予測値との差異が見つかったこと,シミュレーションで瀬戸の東側に潮流の速い個所がある可能性があるなど新しいことが分かった.ダリウス形水車発電装置のプロトタイプを製作を行い,回流水槽で発電実験を行ったこと,また,その結果が,文献と比較して大変良好であった.このダリウス形水車発電装置を潮流の観測結果に適用すると,99.7%の潮流が発電に利用できることが分かった.これらのことから概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
(1)潮流観測において,観測場所を増すこと.つまり,橋脚の影響が異なる箇所での観測を実施する.また,シミュレーションで現れた大島大橋の真下ではなく,数百メートルほど東側に位置する航路の北側で流速が最も大きくなる現象に対する観測を試みる.さらに,潮位の観測を行い,シミュレーションの境界条件をより正確に定め,精度の向上を試みる.(2)観測する潮位のデータを用いてシミュレーションを行い,潮流の観測結果との比較検討を行い,大畠瀬戸の潮流特性の解明を行う.(3)より効率の高い潮流発電を目指し,ダリウス形水車発電装置の改良を行う.(4)乱れた流れである実海域での発電に向けて,海上での発電実験を行う.(5)潮流発電の水車発電装置の魚等への影響を調べる.(6)成果の発表を行い,意見交換,情報収集を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)大畠瀬戸の大島大橋の別の場所での潮流観測,周辺海域の潮位観測.(2)観測する潮位の値を用いたシミュレーション.(3)翼枚数,翼幅,ソリディティの値,翼断面形状,翼迎角を変えて回流水槽で発電実験.(4)海上発電実験.(5)水車の回転,振動のノイズが魚に対する影響を文献等で調べる.(6)学会発表.これら(1)~(6)を行うために,下記のように研究費を使用する.物品費920千円,旅費180千円,謝金50千円,その他50千円
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