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2011 年度 実施状況報告書

露天掘り鉱山採掘跡地におけるバイオマス燃料の安定供給を目指した環境修復工法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23560986
研究機関九州大学

研究代表者

島田 英樹  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70253490)

研究分担者 笹岡 孝司  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20444862)
松井 紀久男  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30136535)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード環境修復 / インドネシア / 酸性鉱山排水問題 / 植物生育 / フライアッシュ / カラム試験
研究概要

インドネシアでは露天採掘により99%以上もの石炭が生産されているが、熱帯雨林気候に属しているため、環境修復箇所においての浸食や酸性鉱山排水問題の発生等が懸念されている。今年度は、AMD 対策法の一つであるNAG タイプ別埋戻し法に着目し、インドネシアから採取した廃石・フライアッシュを用いて数種の試験を行い、埋め戻された廃石・フライアッシュが植物の生育に与える影響に関して検討を行った。 インドネシア石炭鉱山から採取した岩石試料とフライアッシュをNAF/PAF 分類するため、地化学試験であるNAG 試験およびABA(Acid Base Accounting)を行った。その後、植物の根が伸長する廃石部に関して、XRF 分析およびICP 質量分析を行うことで有害物質の定量と溶出挙動の把握を行った。また、AMD 抑制および植物の生育へ影響に関して検討を行うにあたり、降雨により水が浸透する現場状況を模したカラム試験を実施し。すなわち、NAF、PAF 及びフライアッシュの混合試料を充填した後、カラム上部から蒸留水を通水し、カラム下部から得られた流出水に関して各種水質分析を行い、植物の生育に関わる種々の検討を行った。 その結果、通水1 回目のPAF 単層およびPAF 混合層において高濃度の金属イオン溶出が確認され、フライアッシュ単層において他のケースより高い重金属の溶出が認められることから、これらが植物生育阻害の原因となることが懸念される。しかし、流出水の分析値は一般的に植物体中に含有するとされる金属元素濃度とインドネシア環境基準値を十分に満足しており、さらに通水6回目においてはすべての分析値が減少している。この結果から、AMD 抑制を効果的に行い、かつ一定の土壌養生期間を設けることが最終的な修復緑化を行うに当たって重要であると考え、次年度の研究として継続する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

現在、鉱山開発に伴う環境修復で最も問題視されているのは鉱山酸性排水(AMD)問題である。これまで酸性鉱山排水が発生する可能性のあるPAF(酸性水が発生しやすい廃犀)を水や空気に暴露されないように最深部に埋め戻し、その上部を覆うようにNAF(酸性水が発生しにくい廃犀)を埋め戻されるよう室内試験から指針が提案されてきた。しかし、実施工においては、異種の岩石を均一に混合して埋め戻すことは極めて困難であること、現場では降雨に伴うスレーキング性を加味する必要があるため、廃犀の浸食と耐水性に関する実験を行う。次に、同じく廃棄物であるアルカリ性を呈するフライアッシュを用いて最適なカバーリングシステムを検討する。さらに、カバーリングシステムの透水係数、充填形状等が採掘跡地のカバーリングによるリハビリテーション後に植栽されるヤトロファ等の植物の生育にどのように影響を及ぼすのかについて検討を行い、新しい環境修復工法を提案するために種々の検討を行う予定である。現在までのところ、当初の予定どおりに計画が進行しているが、植物の生育に関する項目については当初の予定どおりに生育しないため、今年度はリスクを考慮した計画を練り直しているところである。

今後の研究の推進方策

我が国の石炭消費量は年間約1億6千万トンで、ほぼ全量を輸入に頼り、この量は世界全体輸入量の22%を占めている。主な用途のひとつは火力発電所の燃料であるが、ここで発生するフライアッシュの処分が大きな問題となりつつある。現在、その再資源化は多方面から努めてはいるものの、需要量は発生量に追いついていないのが実状である。一方、発展途上産炭国では、露天掘り石炭鉱山の跡地が放置され、切羽跡内溜水の酸性化による地下水汚染、剥土堆積場の崩壊や流出などの環境破壊が発生しており、この環境修復技術の確立が要求されている。この中でも、廃犀のスレーキング性が大きい場合、環境修復の際に種々の工夫が必要となる。そこで、環境修復における埋め戻し材の一部に石炭燃焼灰を利用した場合、酸性水化や表面浸食の抑制、軟弱地盤や汚染土壌の改良にどの程度の効果が得られるかについてな室内試験による検討を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費については、物品費が全くないので、消耗品費、旅費、人件費で効率的かつ効果的に使用できると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a New Covering Strategy2012

    • 著者名/発表者名
      H.SHIMADA, G.J.KUSUMA, T. SASAOKA, K.MATSUI他
    • 雑誌名

      Int. Journal of Mining, Reclamation and Envir.

      巻: 26 ページ: 74-89

  • [雑誌論文] Study on Appli.of Paper Mulberry for Rehab'tion2011

    • 著者名/発表者名
      A.HAMANAKA, T.SASAOKA, H.SHIMADA, K.MATSUI他
    • 雑誌名

      Proc. of Int.Sympo.on Earth Sci. and Tech. 2011

      巻: 1 ページ: 113-118

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lab. Evaluation of Multi-Layer Cover to Control2011

    • 著者名/発表者名
      H.SHIMADA, G.J.KUSUMA, T.SASAOKA, K.MATSUI他
    • 雑誌名

      Proc. of the Mine Planning and Equipment Selection

      巻: 1 ページ: 1454-1465

    • 査読あり
  • [学会発表] インドネシア露天掘り石炭鉱山におけるAMD問題と廃石が植生に及ぼす影響に関する検討2012

    • 著者名/発表者名
      濱中晃弘, Ginting Jalu KUSUMA, 島田英樹, 笹岡孝司, 松井紀久男, 宮島邦夫, 一ノ瀬政友
    • 学会等名
      資源・素材学会春季大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120300

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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