研究課題/領域番号 |
23560992
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
難波 徳郎 岡山大学, 環境学研究科, 教授 (80218073)
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研究分担者 |
紅野 安彦 岡山大学, 環境学研究科, 准教授 (90283035)
崎田 真一 岡山大学, 環境管理センター, 助教 (50379814)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 下水処理汚泥 / 焼却灰 / ガラス / リン / ケミカルリサイクル |
研究概要 |
岡山市の下水処理場から排出された下水汚泥を用いて以下の実験を行った。下水処理汚泥を焼却し,有機成分を除去した焼却灰を得た。焼却灰を1500℃で溶融し,急冷することによりガラスを得た。X線回折および走査型電子顕微鏡観察により,得られたガラスは溶融時に液々相分離により分相していることが明らかとなった。得られたガラスおよび熱処理により一部結晶化させた試料を酸に浸漬したところ,不溶な固体を回収することができた。組成分析の結果,SiO2含有量が重量割合で95%以上であった。部分的に結晶化させた試料でも,SiO2含有量は80%以上であった。しかし,焼却灰にP2O5換算で25%程度含まれていたリンについては,酸処理後の固体には5%以下しか含まれていなかった。今後は,リンの含有率を高めることができる処理条件の探索を進めると共に,リンの回収率を向上させることができる添加物の探索を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標は,下水処理汚泥から調製したガラスを分相させ,リンの回収率の高い処理条件を探索することであった。ガラスを分相させることには成功し,SiO2含有量の高いガラスを回収することができたが,ここまでは予定通りであった。しかし,回収したSiO2割合の高いガラス相にリンを高濃度で濃縮させることはできなかった。ガラスを調製する際に,汚泥にSiO2やB2O3を加えることにより,分相ガラスの組成を変化させれば,酸に不溶なガラス相にリンを濃縮させることができると考えている。このように,必ずしも期待通りの結果が得られたわけではないが,予想の範囲であり,対策もたてている。これより,「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,ガラスを分相させることに成功し,SiO2含有量の高いガラスを回収することができたが,回収したガラス相にリンを高濃度で濃縮させることはできなかった。ガラスを調製する際に,汚泥にSiO2やB2O3を加えることによって,分相ガラスの組成を変化させることができる。これにより,酸に不溶なガラス相にリンを濃縮させることができると考えている。熱処理や溶液処理の条件を詳細に検討することで,リンの回収率を高めることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
備品:小型電気炉を購入し,試料の熱処理を行う。消耗品:原料試薬,るつぼ,発熱体,耐火れんがなどを購入予定。旅費:学会等に参加し,最新の研究動向を調査すると共に,研究成果の発表を行う。謝金:実験データの整理と実験廃棄物の処理を学生に行ってもらう。
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