本研究では,トカマクプラズマにおけるリップル磁場,誤差磁場,ELM制御コイル磁場などによる3次元磁場摂動がある場合の新古典トロイダル粘性への影響について,3次元磁場配位におけるドリフト運動論方程式解析コードDCOM/GNETを用いて研究を行う.摂動磁場強度や衝突頻度依存性などについて,これまでの解析的理論と比較を行うと同時に,これまで理論解析が不十分な径電場の影響などを考慮に入れ解析を行いその影響を明らかにする.また,さらに摂動磁場が大きくなり,磁気島が発生した場合やストキャスティック磁場となった場合における新古典トロイダル粘性についても評価を行うことを目的としている. 平成25年度は,まず昨年度に引き続きGNETコードの改良を進めた.具体的には,新古典粘性の評価に重要な運動量を保存する衝突項の開発を進めた.昨年度開発を行った高速極限での運動量保存衝突項に続き,背景プラズマの速度に依存する運動量保存衝突項の開発を行った.現在,実際にGNETコードに組み入れ,運動量が保存することを確認する作業を進めている.また,高速極限での運動量保存衝突項を用いた新古典粘性の計算を行い,Shaing等の解析理論との定量的な比較を進めている. 本研究により,2種類の運動量を保存する衝突項を開発することができた.特に,背景プラズマの速度に依存する運動量保存衝突項は,これまで導入されていないものであり,今後,背景プラズマの速度に依存の重要性を初めて検証することができる様になった.また,モンテカルロ法を用いたコードへの衝突項の導入に関する多くの知見を得ることができ,非線形衝突項の開発などを進めることが出来た.一方,新古典粘性の評価においては,新しい衝突項を導入し,現在解析を進めている.
|