研究課題/領域番号 |
23561013
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
硲 隆太 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (00379299)
|
研究分担者 |
佐久間 洋一 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 産学官連携研究員 (30133119)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
キーワード | 実験核物理 / 素粒子実験 / 化学工学 / 同位体分離 / マイクロ・ナノデバイス |
研究概要 |
カルシウム同位体の化学濃縮法におけるこれまでで最大の分離係数1.014を得たクラウンエーテル(DC18C6)を用いた液液抽出法の最適条件(クラウンエーテル、有機溶媒、温度、撹拌時間)の探索を行った。上記の内、クラウンエーテルは安価な18C6を用い、撹拌時間を1時間、30、25、20、10分と変え、これまでの1時間撹拌でなく半分の30分で同様のカルシウム濃度結果を得、半分の反応時間に短縮可能なことが判明した。次にこの半分の反応時間で有機相(クラウンクロロホルム溶液)濃度をこれまでの0.07Mの5倍(0.35M)及び1/5倍(0.014M)で液液抽出を行い、各々の液液抽出後のカルシウム濃度は、これまでの結果(0.07M, 撹拌時間1時間、30分)と変化がないことが分かった。本結果は最適な流路長・形状を求めるため、バッチ法での反応攪拌・静置時間の最適条件を決定し、マイクロチップ法へフィードバックをかける意味でも極めて重要な結果で本結果を考慮し、低流速から高流量まで対応出来かつ高精度(他製品では、低速になるにしたがい流速・流量が不安定であることが送液テストで判明し、性能を精査した)なポンプ(1μl/分~10ml/分)を選定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
液液抽出法の最適条件の実験の効率・迅速化を図るため、抽出回数を減らし、高濃度のカルシウム水溶液で検証を行うこととし当初、簡易カルシウムイオンメータでカルシウム濃度を測定することを試みた。しかし、測定精度が20%とこれまでのICP-AES(Thermo Scientific iCAP6500)と比較し1桁以上、精度が悪く、イオンメータの修理・カルシウム電極の買換え要も判明し、再度のICP-AESによる測定に落ち着くまで精度の担保等の考察・検証に時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
液液抽出法の最適条件(クラウンエーテル、有機溶媒、温度、撹拌時間)の他のパラメータの決定をカルシウム濃度のみでなく同位体比でも確認する。乳化マイクロチップによるテスト実験により、液液抽出後の分離過程である静置時間の短縮(バッチ法で現在は1時間)も今後の課題であることが判明し、水相・有機相の撹拌後の粒径の確認、併せてエマルジョン形成用マイクロチップでのエマルジョン液滴との粒径の比較を行う。分離過程の高速化(分離時間の短縮化)には、遠心分離、超音波洗浄、磁場MRI、電場等、種々の方法で確認する。また有機溶媒として毒劇物で取扱い難なクロロホルムの代替としてジクロロメタンや、さらに反応時間の高速化を目指した触媒の検討も行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度に設備備品として必要な機器はほぼ既に導入を行い、次年度は継続的に必要な消耗品として有機相(クラウン-クロロホルム等)と水相(塩化カルシウム水溶液)の2液及び、濃度・同位体比測定時の質量分析器使用に伴うアルゴン(窒素)&アンモニアガス(同位体交換反応時の水素ガス)及び実験補助員への人件費(謝金)、併せて研究分担者及び共同研究先(東工大・名大・広大・京大炉)との調査・実験・研究打ち合わせ旅費として研究費を使用する。また次年度より所属機関が大阪産業大学に変更となり、間接経費を転出先の実験室インフラ整備に充てる。
|