(1)40Ca2+(水相)+48CaL2+(有機相)⇔48Ca2+(水相)+40CaL2+(有機相): (Lはクラウンエーテル) ①従来の2段目以降の純水への逆抽出法では、Ca濃度が30%飽和水溶液からスタートしても、3段目以降では、6桁落ちの濃度となり、トンオーダーの大量濃縮を必要とする観点からは、現実的ではなかった。今回、新たに、2段目以降も、1段目と同様にクラウンエーテル有機相のみならずCa水相も繰り返すことにより、6段目でもCa濃度が2~3割減のfeedとほぼ同じCa濃度を維持しながらの多段化の方法を確立した。この際、昨年度の重要な知見:”反応後のCa吸着クラウンエーテル有機溶媒を水のみでCaを剥がし、回収有機相でも新規の有機相と同様の結果を得、再利用可能である”を元に、高価なクラウンエーテルを繰り返し使用し、樹脂法でのCa脱離に強酸が必要な場合と比較し、水のみの取扱い易な利点にも立脚した安価な濃縮法を確立した。 ②①の液液抽出の新手法を6段目まで30分の反応時間・室温20℃で実施し、東工大のTIMS(MAT261)により同位体比を測定し、6段目での約0.6%の48Ca濃縮を確認し、1.0010±0.0003の分離係数の結果を得た。これまでの水への逆抽出法による7%濃縮・分離係数1.012±0.004(反応時間60分)に比べ約1/10であるため、今後、反応時間、温度、水相・有機相比率等の最適化を図る。この分離係数でも2300段で10倍濃縮可能であり、現実的なCa濃度で大量濃縮可能となり、現実的な見通しが立ったといえる。 (2)1H3H(気相)+1H218O(液相)⇔1H2(気相)+1H3H18O(液相) 環境水中の極低濃度トリチウム濃度を正確に測定するために、トリチウム電解濃縮装置を整備し、約2日の電解濃縮で0.01 Bq/kg-water程度のトリチウム濃度の測定が行える見通しを得た。
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