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2011 年度 実施状況報告書

軽核に対する中高エネルギー原子核反応断面積評価

研究課題

研究課題/領域番号 23561014
研究機関九州大学

研究代表者

執行 信寛  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40304836)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード加速器 / 原子力エネルギー / 放射線、X線、粒子線 / ベリリウム / 断面積
研究概要

当該年度は、核融合炉における中性子増倍材やホウ素中性子捕捉療法用の中性子源、核破 砕中性子源の窓材として使用される軽核のひとつであるが、反応断面積の実験データが少ないベリリウム9の中性子入射断面積に関する計算を中性子の入射エネルギーが1MeVから200MeVの範囲で実施した。計算には、光学模型、Haser-Feshbach統計模型、励起子模型を用いて断面積を計算するGNASHコードを使用した。しかし、このコードはそのままではベリリウムのような軽い原子核の反応断面積の計算ができないため、以下の改良を行った。全ての反応断面積の基となる全断面積は多く測定されているため、この全断面積の実験データを再現するように光学模型計算コードECISにより光学ポテンシャルのパラメータを決定した。決定を容易にするためにROOTフレームワークを利用した。ベリリウムは一般的に原子核が変形していると考えられるが本研究では球形と仮定した。数MeV以下の低いエネルギー領域では共鳴反応などが起こるため、6MeVまでは既存のパラメータセットを用い、6MeV以上をの新規パラメータセットで記述することとした。次に、得られた光学ポテンシャルパラメータを使用し粒子放出の計算の改良を行った。励起子模型では反応の遷移行列要素の絶対値二乗平均値で使用されるパラメータと実効ポテンシャルの深さを実験値データを再現できるように決定した。Hauser-Feshbach統計模型で必要な複合核とその近傍の残留核の核子の準位密度パラメータを粒子生成断面積の実験データを再現するように決定した。以上のことから、入射エネルギーが1MeVから200MeVの範囲でベリリウム9の中性子入射断面積を一部の反応単面積を除き高い精度で計算できるようになり、20MeV以下のエネルギー領域では評価済み核データライブラリよりも精度が高いことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は断面積計算と並行して反応断面積の一部を測定し計算値との比較を行うことで計算の予測精度検証の一部を行う予定であったが、測定対象とする断面積の種類の選定に時間を要したことにより実験データの取得を次年度以降に延期したため。

今後の研究の推進方策

ベリリウム9の中性子入射断面積については、一部の反応断面積を除き1MeVから200MeVの範囲で概ね実験データを再現できるようになった。この知見を元に陽子入射断面積についても計算に必要な改良を実施する。その後、リチウム6とリチウム7に対する中性子および陽子入射断面積についても計算コードの改良を行う。近年開発されたCCONEやTALYSなどのコードのりようを検討する。これらのコードもそのままではベリリウムやリチウムのような軽い原子核の計算には対応していないため改良が必要であるが、コード中で使用されている励起子模型や統計模型計算がより高精度のものとなっているため対応が容易になることが期待される。一方20MeV以上のエネルギー領域については、ベリリウムとリチウムの両方で全断面積を除いたさまざまな反応断面積の実験データがほとんど存在しない。そのため上述のコードの改良による計算値の全断面積の以外の精度検証が困難である。よって、20MeV以上の入射エネルギー領域での実験データの測定を計画している。利用できる実験施設としては、放射線医学総合研究所のサイクロトロン施設やロスアラモス国立研究所の高エネルギー中性子源施設が考えられる。

次年度の研究費の使用計画

当初は本年度に行う予定であった断面積計算の予測精度検証に使用する断面積測定実験を延期したために、これに使用するための物品費と旅費に使用する。断面積計算をより高速に実行するために計算機に使用する。また、成果を国際会議で発表するための旅費に使用する。

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公開日: 2013-07-10  

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