本年度はリチウム、ベリリウムという軽核の原子核反応断面積を評価を容易にするためのシステムを構築した。対象とした入射粒子は陽子と中性子、入射エネルギーは1MeVから200MeVの範囲を対象とした。このシステムはROOTフレームワークとC++言語を元にしたROOTマクロをベースとした。断面積の計算値と比較するための既存の実験値は、国際データベースのEXFORから手動で抽出して、システムに格納するようにした。評価用計算にはCCONEコードを利用した。CCONEコードはそのままではリチウムやベリリウムのような軽核には利用できないため、このような原子核に対して計算できるように改良を行った。CCONEによる評価用計算値と実験値を同時に画面表示し、計算のパラメータの中で改善すべき点をわかりやすくした。 光学ポテンシャルは入射エネルギーが数MeVから200MeVの範囲で1種類の関数系で表すこととした。既存の評価済核データベースに格納されている20MeV以下の断面積データと同等に近い計算値となり、20MeV以上のエネルギー領域の原子核反応断面積を求められるようになった。 今回の原子核反応断面積の評価を容易にするシステムでは軽核を対象としていたが、実験データの抽出の方法などをより高度化することで、他のより重い原子核に対する断面積の評価にも使えるようになり、原子核反応断面積の評価を高度化することができると考えられる。
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