研究課題/領域番号 |
23561019
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 詔司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (90421461)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ネプツニウム237 / 熱中性子捕獲断面積 / ガンマ線放出率 / マイナーアクチノイド / アメリシウム243 / 同時計測 |
研究概要 |
平成23年度は、マイナーアクチノイド核種の中で高速炉の燃焼チェインでPu-239の生成に寄与するNp-237について、Np-237(n,γ)Np-238反応について実験を行った。Np-237のデータについては、熱中性子捕獲断面積について報告値間の不整合が見受けられるために、断面積データの高精度化を行うこととした。 Np-237の照射は、京都大学原子炉実験所の研究炉にて行った。Np-237は低いエネルギー位置に強大な第一共鳴を持つので、Gd遮蔽材を用いた断面積測定手法を用いて、熱中性子捕獲断面積断面積と共鳴積分を測定した。解析に必要となるガンマ線放出率を検討した結果、Pa-233の312keVガンマ線は38.5%、Np-238からの984keVガンマ線は25.19%の放出率が推奨され、その値を用いた場合、Np-237熱中性子捕獲断面積は180(b)のオーダーであり、誤差を考慮すれば、評価データJENDL-4.0の178.08(b)、JEF3.1の181.033(b)を支持する暫定結果を得た。 測定システム開発として、マルチパラメータ計測モジュールや必要となる測定回路の整備を行った。また、使用する高純度Ge検出器やアルファ線計測システムなどの測定系の整備も併せて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Np-237(n,γ)反応については、当初予定どおり、照射実験と解析が進んでいる。しかしながら、測定システムの整備と開発については、当初の計画より進捗が遅れているため、全体の達成度としては、「やや遅れている」と評価した。 当初計画では、ガンマ線放出率が良く分かっている核種を対象として、その安定試料を機構研究炉にて照射し、生成核種からのガンマ線放出率の導出を行うなどして、解析手法の検証を進める予定であった。しかし、研究炉の停止により機構での照射実験が出来なかったため、予備的な実験及び手法検証を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Np-237(n,γ)反応断面積については、データの結果を精査して、熱中性子捕獲断面積および放出率データの結果を纏めて論文化を進める予定である。 照射については、京都大学原子炉実験所の研究炉を用いて照射実験を行うことをH24年9月上旬に予定している。計画通りにAm-243(n,γ)Am-244g、Am-244m反応の照射実験を行う。先ずは、既知の核準位の情報のみを用いて、ガンマ線計測から、Am-244gからの崩壊ガンマ線の放出率を導出することを試みる。ガンマ線放出率を、誤差29%から3%の精度で導出することを目標にする。得られるガンマ線放出率を用いて、Am-244g生成の中性子捕獲断面積を導出する。また、同時に、Am-244mを測定することを視野にいれて、およそ26分としか分かっていない半減期を測定する。 測定システム開発および測定試験については、校正線源、たとえば精度の良いCo-60線源などを用いて、γ-γ同時計測を考えて、システム構築を進めていく。また、機構研究炉が再開(H24年9月頃)されたら、Au-197試料を用いて、既知のガンマ線放出率が再現できるかを検証していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、京都大学原子炉実験所でのマイナーアクチノイド照射実験のための消耗品や実験のための国内出張旅費に使用する。消耗品としては、照射に使用する安定核種の高純度試料を購入する。また、成果の発表のために、学会、研究会等への参加旅費を使用することを計画している。
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