研究課題/領域番号 |
23561026
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石田 政義 筑波大学, システム情報系, 教授 (30272173)
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研究分担者 |
花田 信子 筑波大学, システム情報系, 助教 (00606634)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 固体酸化物形燃料電池 / 高温 / 直流 / 無機絶縁材料 / 部分放電 |
研究概要 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実用化のために、高温領域での無機材料の電気絶縁現象を解明し、健全性を保証できる絶縁機構及び設計方法を確立することを目的とする。平成23年度は各種無機材料の電気絶縁特性の測定を実施した。5種類の無機絶縁材料(アルミナ、マグネシア、ジルコニア、窒化ケイ素、マイカ)について600~850℃の高温領域における直流絶縁特性を絶縁抵抗値(印加電圧50~500V)および部分放電電荷量(印加電圧500~2500V)により評価した。 ジルコニアに関しては、600℃、50Vで20mA以上の電流が流れたため、SOFCの絶縁材料としては適さないことが分かった。ジルコニア以外の材料について得られた結果を以下にまとめる。絶縁抵抗値に関して、600℃付近では窒化ケイ素の絶縁抵抗値が他の材料よりも2倍程度大きい値となった。印加電圧の増加に伴う絶縁抵抗値の変化はどの材料においても見られなかった。一方、850℃付近では印加電圧の増加に対してマイカのみで絶縁抵抗値の変化がなく、それ以外の材料は減少する傾向が見られた。部分放電電荷量に関して、600℃付近に比べて、アルミナでは750~850℃付近、窒化ケイ素とマグネシアでは850℃付近において、印加電圧の増加に対して急激に増加する傾向が見られた。一方、マイカに関しては850℃付近においても急増する傾向は見られなかった。 これらの結果から、600℃付近では絶縁抵抗値が他の材料の2倍程度大きいことから窒化ケイ素が絶縁材料として最適であり、850℃付近では印加電圧の増加に対して絶縁抵抗値、部分放電電荷量が他の材料に比べ一定であることから、マイカが最適な材料であることが分かった。今後はよりSOFCの作動環境に近づけるために、燃料ガス雰囲気下での測定を行い、これまでの結果と比較して最適な材料を再度検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度計画の各種無機材料の電気絶縁特性の測定について、予定通りに達成した。燃料ガスが電気絶縁特性へ及ぼす影響への把握については、やや進捗が遅れている。理由として測定試料と燃料ガスを密封するための測定セルの設計、製作に時間を要したことがあげられる。 また、試料表面観測のためのEDX-SEM装置の整備についても時間を要しており未完了である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度計画分の燃料ガスが電気絶縁特性へ及ぼす影響への把握については、完成した測定セルを使って早急に測定・解析を実施する。EDX-SEM装置の整備についても、早急に完了させる予定である。 また、平成24年度計画分の水蒸気が電気絶縁特性へ及ぼす影響の把握、短時間連続絶縁試験については予定通りに実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
EDX-SEM装置整備の遅れにより発生した繰越金であるが、平成24年度には整備を早急に完了させるために使用する。その他平成24年度研究経費については、計上している物品費、旅費、謝金を概ね研究計画通りに執行する予定である。
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