バイオディーゼル(BDF)は、植物油や廃食油とメタノールを触媒存在下でエステル交換反応させることによって生成される。本研究では、混合が困難な原料油とメタノールの混合を促進するために、スタティックミキサーを用いて、油中にメタノールを微粒子化して均一に分散させ、エマルジョン化することで反応表面積を増加させて反応促進を図ることを目的としている。 平成25年度は、エステル交換反応の触媒として固体触媒を用いた時の、スタティックミキサーの効果を調べた。固体触媒としては、活性炭と酵素触媒を用いたが、後者のほうが触媒としての活性が高く、高いBDF収率と、大きな反応速度定数が得られることがわかった。固体触媒を用いる場合、バッチ反応器は利用できないため、最初に、バッチ反応器と循環カラム反応器での反応の様子を比較検討した。その結果、バッチ反応器のほうが、反応時間中、メタノールの微粒化状態を維持できるために、循環カラム反応器よりも、大幅に反応が促進されることが明らかとなった。 従来の機械的撹拌とスタティックミキサーを比較するために、循環カラム反応器を用いて実験を行ったところ、スタティックミキサーのほうが、反応が促進され、この促進効果は、酵素触媒を用いたほうがより顕著となることがわかった。このことから、活性の高い触媒のほうが、よりスタティックミキサーの効果を引き出せることが示された。 一方で、大型連続式反応器を用いて実験を行ったところ、活性の低い活性炭を使った場合でも、小型バッチ反応器よりも高いBDF収率が得られ、スタティックミキサーの効果がより顕著となることが明らかとなった。 以上、本研究の成果をまとめると、触媒の種類によらずに、スタティックミキサーは、機械的撹拌に比べて、BDF製造のエステル交換反応を促進する効果があることが示された。
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