研究課題/領域番号 |
23561029
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
義家 亮 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60293544)
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研究分担者 |
成瀬 一郎 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (80218065)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 微量成分 |
研究概要 |
近年のエネルギー変換プロセスでは,高効率化のための作動ガス温度の高温化や排ガス環境規制の強化などにともなって,ガス中気相微量元素の直接検出・監視の必要性が増している.例えばガス中のヒ素,セレンは,石炭ガス化複合発電における高温発電デバイスとして期待の大きいSOFC (固体酸化物燃料電池) においても,電極劣化による発電効率低下を引き起こす不純物元素として指摘されているため,そのモニタリング手法の開発が急務である.ガス中元素の直接・連続分析を可能とする分光分析法の一つにレーザー誘起プラズマ分光法(LIBS: Laser Induced Breakdown Spectroscopy)が挙げられる.LIBSは試料ガスの前処理不要,複数元素の同時分析が可能といった特徴を持つため,その場・直接分析に適した分析方法である.そこで本研究では,ガス中ヒ素のLIBSによる直接測定およびレーザーエネルギーの検出感度に及ぼす影響を調べている.H23年度は,LIBSにおいて大きな因子の一つであるGate delayのSNRに対する影響の評価し,さらに,レーザーエネルギーの及ぼすSNRへの影響の評価,そして検出限界の評価を行った.その結果,Asの場合は最適なGate delayは12マイクロ秒,レーザーエネルギーは150mJであると結論付けることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書の平成23年度研究実施計画のうち【1】の発光線スペクトル選定に関しては,まずヒ素(As)に注力することとして,その選定を予定通り完了した.【2】のエアロゾル生成器製作に関しては,HPLC用モノスプレーが予想された性能を発揮することができず,その代替として水素化物発生装置を用いることで気相のAsH3を定常供給することとした.当初予定とは異なる方法であるが,研究計画に対して大きな支障はない.【3】のダブルパルスLIBSによる発光シグナル増幅効果については,まず従来型の二枚レンズ光軸直交型において,ほとんど効果がないことを確認した.次に本研究で提案する一枚レンズ光軸微小角傾斜型の光学系を組み上げたが,LIBSシステム主要構成部品の一つであるICCD検出器の故障(およそ半年間)により,その発光シグナル増幅効果の確認にはいたらなかった.すなわち,ICCD検出器の故障期間がそのまま研究計画の遅延となった.
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり,研究の進捗に半年程度の遅延があるが,それは単なる実験装置修理期間に起因しており,研究計画全体の見直しを要するものではない.したがって,今後も当初の計画にそって,研究実施計画の【3】(ダブルパルスLIBSによる発光シグナル増幅効果の確認)から研究を続行する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の遅延により,H23年度予算として計上した消耗品費のおよそ半分が未使用で残されたため,それをそのままH24年度に持ち越すこととする.一方,当初計画でH24年度主要購入物品に含まれる赤外線イメージ炉については,予定通りH24年度内での納入を目指す.よって,当初計画のH24年度経費にH23年度持ち越しを加えた額をH24年度研究費として計上する.
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