研究課題
マイクロ波の金属酸化物 (酸化亜鉛、酸化鉄、二酸化チタン、酸化銅、等) への照射によって、金属元素、酸素のいずれか、あるいは両方のプラズマが放出される。この、プラズマの種類による放出速度の差、および反応管内での輸送速度の差を利用すれば、従来の 電気炉を用いたプロセスよりも低エネルギー消費・低炭素使用量での、酸化物からの金属回収、不純物を除去し組成を制御した新たな酸化物の生成が可能となると考えられる。しかしながら、マイクロ波照射によるプラズマ生成のメカニズムは未だ明らかになっていない。 本研究では、生成するプラズマを中心とする気相と酸化物試料に対する分光学的手法・材料科学的手法による分析を通じ て、上記のメカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、ひきつづき、UVSOR実験施設での、マイクロ波照射金属酸化物のフォトルミネッセンス(PL)、フォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルの測定によって、照射によって生じる欠陥からの発光バンドの特定を行い、プラズマ生成に伴う基板の変化のメカニズムの研究を行った。特定された欠陥準位はバンドギャップ中の 3.23 eV のギャップ内光で励起される位置に存在し、同準位に励起されることで生じる 2.3 eV の発光は、バンドギャップ光である 3.3 eV 以上の励起では消滅する。この発光はマイクロ波未照射の状態でわずかに還元状態での酸素空孔によって生じると考えられる 2.0 eV をピークとする発光とは異なるものであり、照射に伴うプラズマ放出の結果として生成される欠陥は酸素分圧の変化によって生じる不定比性の原因となる欠陥とは異なる新たなものであることが明らかとなった。
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