研究概要 |
本研究はテーパー翼を特徴とする低重心風車の最適形状探索を主な目的とし、数値計算と模型実験により、翼型およびローター形状の違いによる風車特性の差異を明らかにする計画である。 平成24年度は2%, 4%, 6%の反りを持った非対称翼(キャンバー翼)であるNACA 2518、NACA 4518、NACA 6518の3つの翼型について空力特性の計算を行い、データベースを構築した。失速角以下の小さい迎角において揚力係数およびモーメント係数が一定割合でそれぞれ増加および減少することを見出し、その変化率を表す近似式を求めた。これは今後、予測理論の改善に利用する予定である。また、作成した空力データベースを用いて翼素運動量理論に基づく性能予測を行ってキャンバー翼の風車性能への影響を調べ、外凸キャンバー翼では反りが増加すると出力特性ピーク幅が広がり、内凸キャンバー翼では逆に狭まる傾向を持つことを示した。 実験においては、まず、昨年度の問題であった実験風速を増加させるため、小型風洞の吹出口に収縮ノズルを取付け最大風速を6m/s以上に増加させる改良を行った。対称翼NACA 0018を翼型断面とする模型実験機として、風速6m/sにおいて最大の効率が得られると予想される低重心風車(直径0.4m, 高さ0.25m, 3枚翼)を光造形で製作し性能を調べた。実験結果は理論予測とほぼ同程度の最大トルク係数を示したが、実験の最大トルクを示す回転数は理論予測の約半分の値であり、この差異は湾曲流線の影響が1つの原因であると推測した。また、翼素運動量理論の小型風車への適用にも問題があると考えられ、その補正は今後の課題の1つである。H24年度末までに、キャンバー翼を採用したFRP製の低重心風車模型も製作して予備的実験を行っているが、詳細な実験と解析は翌年度に持ち越しとなった。
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