本研究の目的は、「産業の生産性向上の検討とICT 機器の導入による効率改善、時間を考慮した環境効率の概念の拡張、現代における時間の価値の定量的な考察」の3点である。 平成23年度は、現代における時間の利用の定量的かつ大規模な調査事例として省庁で実施されている国民生活調査、社会生活基本調査などの国民の生活時間についての調査を対象として、長期的な時間の利用法の変化を整理した。 平成24年度は、エネルギー供給に影響する事象は、エネルギー需要量に影響する景気の浮揚と、エネルギー価格変動や自然災害のようなエネルギー技術開発の方向性に影響する事象に二分されることを確認した。各種製造業の生産性を整理し、一人当たりの生産性が高い技術集約型の産業と、一人当たりの生産性は必ずしも高くないが産業規模が拡大している労働集約型の産業に分けられることを確認した。タブレットPCの導入による産業の効率改善に着目して、メール処理および出張報告書の作成などをシナリオ分析した。 平成25年度は、大規模な産業に関して産業構造変化の観点から整理した。ICT技術による効率改善の背景として、パソコン、デジタルカメラといった製品の普及、SNSなどのサービスの普及が、近年、急速に進展していることを確認した。 平成26年度は、化学工業を例に、エチレン、塩化ビニルポリマー、石油精製を対象として、産業の勃興記、競合算入・事業拡大期、大型化の時期、均衡・提携の時期、安定・衰退の時期に区分した対比・整理を行った。電話(固定電話、携帯電話、スマートフォン)、カメラ(フィルムカメラ、デジタルカメラ)、テレビ(白黒テレビ、カラーテレビ、薄型テレビ)を対象として、普及率70%到達までの期間、普及率90%到達までの期間、普及率70%を維持した期間を対比・整理して、製品普及の高速化が急速に進展していることを、定量的に確認した。
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