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2011 年度 実施状況報告書

SOFC-ガスタービンハイブリッドシステムのダイナミクスと制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23561034
研究機関芝浦工業大学

研究代表者

君島 真仁  芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (10298143)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード固体酸化物形燃料電池 / ガスタービン / 高効率発電
研究概要

平成23年度は,以下のような研究活動を展開した.1. SOFC-GTハイブリッドシステムの設計:固体酸化物形燃料電池(SOFC)とガスタービン(GT)を組み合わせたハイブリッドシステムの解析コードを利用して,システム設計について検討した.過電圧の特性がSOFCの性能評価に大きく影響することから,最近のSOFCの技術レベルを考慮した電流-電圧特性を組み込み,ガスタービンと再生熱交換器を含めたシステム全体の基本的な設計パラメータの決定を行った.2. 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の動特性解析モデルの構築:制御系を含むSOFCの作動条件変化に対する出力の過渡応答を予測する解析モデルの構築を目標として検討を進めた.SOFCの動特性を大きく支配する要因が,熱容量に起因する温度応答の遅れであることから,マクロなエネルギー方程式についてのみ非定常モデルを導入することについて検討を行った.出力変動を想定した電流操作や燃料と空気の流量操作に対する電圧の過渡応答を解析した結果,これまでに報告されている実機の特性と定性的に一致する結果を得ることができた.また,物質輸送について,円筒型単セルを対象とした動特性解析を行ったところ,電極内の拡散がSOFCのマクロな動特性に及ぼす影響は極めて小さくなることを確認した.当初の計画にはなかったが,研究交流のあるポーランドアカデミー科学技術大学において平板型SOFCの動特性実験を行う機会が得られ,貴重な実験データを取得することができた.3. ガスタービンの動特性解析モデルの構築:ハイブリッドシステムのもう一方の主構成要素であるガスタービンの動特性モデルの構築に着手した.動特性解析で重要となる回転系の慣性モーメントの算定のためにローターの設計を行ったが,ブレード間の流れの予測など,現段階では検討が不十分の点があるので,次年度の課題としたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

対象としているSOFC-GTハイブリッドシステムの設計とSOFCの動特性解析モデルの構築については,おおむね計画通りに進行している.SOFCのシステム解析においては,SOFCの電流-電圧特性を与える必要がある.電極の微細構造とガスの拡散の問題など,電流-電圧特性に影響を及ぼす現象についての研究成果は多数報告されているが,電気抵抗などの基礎的なデータの例が少ない.現在の技術レベルを反映させた設計を行うことの難しさが,このような基礎的なデータの不足にあることを発信していくことの必要性を感じた.SOFCの発電プロセスは,熱および物質の輸送と電気化学反応が影響を及ぼし合う複雑な現象に支配されているが,全ての現象の非定常性を忠実にモデル化するのは,計算負荷の増大の観点から必ずしも好ましくない.各現象の時間スケールの評価に基づいて,目的に応じた非定常モデルを導入する必要がある.SOFCの動特性を大きく支配する要因が,熱容量に起因する温度応答の遅れであることから,マクロなエネルギー方程式についてのみ非定常モデルを導入することについて検討を行った.しかし,物質輸送がSOFCの動特性に及ぼす影響についての検討を行わずに,エネルギー方程式の非定常モデルのみを考えるということの妥当性は説明できないことから,物質輸送の非定常モデルについても検討を行うこととした.これにより,物質輸送により生ずる応答遅れに比較して熱的な遅れが圧倒的に大きいことを確認することができた. ガスタービンの動特性モデルについては,当初の計画よりも若干の遅れが生じているため,次年度には加速したい.

今後の研究の推進方策

本年度の研究の中では,SOFCの出力制御に関する検討も行ったが,次年度はそれを加速し,制御手法の確立に向けた詳細な検討を行う.負荷変動への追従性を考えるとき,単に出力端での電流を操作するのみでは,SOFCの特徴である高効率発電を達成することが難しいことが分かっているので,燃料流量や空気流量を操作することによる高効率発電と負荷変動追従性を両立するような制御系設計に力点を置いた検討を進める. ガスタービンについては,内部流動の数値解析にもとづいてローター設計を完了した上で,動特性解析モデルの完成を急ぐ.SOFC-GTハイブリッドシステムにおいては,ガスタービンは排熱の動力化という発電効率向上の観点から重要な役割を果たすが,SOFCの制御の観点からは,空気流量の操作という重要な機能を有する.動特性解析モデルの作成にあたっては,この点に配慮した検討を行う. 研究成果については,SOFCの制御問題を中心として国際会議や国内会議で積極的に発表したい.

次年度の研究費の使用計画

SOFCとGTともに解析コードの作成と数値計算の実行が要求されるので,計算機環境の整備に使用する.データ整理のためのソフトウェアの購入も検討している.また,研究成果の対外発表のための出張旅費としての使用も計画している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 出力制御系を付帯する固体酸化物形燃料電池の動特性解析2011

    • 著者名/発表者名
      小松洋介,君島真仁
    • 学会等名
      日本機械学会第16回動力・エネルギー技術シンポジウム
    • 発表場所
      関西大学(大阪府)
    • 年月日
      2011年6月23日
  • [学会発表] Numerical Analysis on the Dynamic Behavior of a Solid Oxide Fuel Cell with a Multivariable Control Strategy2011

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Komatsu, Shinji Kimijima, Janusz Szmyd
    • 学会等名
      219 ECS-Meeting, B7-Solid Oxide Fuel Cells XII (SOFC-XII)
    • 発表場所
      Montreal Convention Center, Canada
    • 年月日
      2011年5月5日
  • [学会発表] 出力制御系を付帯する固体酸化物形燃料電池の動特性解析(負荷変動追従運転時の燃料不足状態の発生についての考察)2011

    • 著者名/発表者名
      小松洋介,君島真仁
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス
    • 発表場所
      静岡大学(静岡県)
    • 年月日
      2011年10月29日

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公開日: 2013-07-10  

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