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2011 年度 実施状況報告書

紡錘体チェックポイント終了に働くSIRT2分子がオートファジーを抑制する意義

研究課題

研究課題/領域番号 23570005
研究機関鳥取大学

研究代表者

井上 敏昭  鳥取大学, 医学部, 准教授 (80305573)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード紡錘体チェックポイント / SIRT2 / 中心体
研究概要

紡錘体チェックポイント(SAC)を誘導した場合(SAC-On)、SIRT2ノックダウン細胞でオートファジーが亢進していることは、GFP融合LC3(オートファゴソームのマーカー)のドット形成の観察による。この点をより確かなものとするために、生化学的にLC3、p62を評価系のイムノブロットで追認した。今後オートファジーレベルの定量的評価にはこれらを併用することとした。電顕観察でのオートファゴソーム形成の亢進での確認を進めている.H23年度では、SIRT2によるオートファジー抑制がSAC-Offへの移行に必要なことをオートファジー実行に必要な分子のノックダウンにより明確に示すことができた。またSIRT2によるオートファジー抑制にはHDAC6が関与し、HDAC6はSIRT2と同じ経路上でオートファジーのレベルの制御を行なっていることを明らかにした。このようにSIRT2によるSACからの細胞死誘導にはオートファジーの抑制が関与していること、そしてここに関わる分子としてHDAC6を提示するに至った。HSP70.2はHDAC6と同様にSIRT2と結合する蛋白として同定し、HDAC6と同様にSIRT2と同じ経路で働くことを予想していたが、HSP70.2に対する複数のsiRNAを用いて検討したところ、HSP70.2をノックダウンできるにも関わらず、SIRT2 siRNAによるオートファジー亢進を抑制できないものがあり、単にsiRNAのサイドエフェクトの可能性が排除できない。HSP70.2についての解析はペンディングにしている上記の解析においては、SIRT2ノックダウン時に見られるSAC時の中心体の断片化についても解析した。その結果SAC-Onからの細胞死誘導と中心体の断片化もレベルの相関することも確認でき、オートファジーとSACからの細胞死誘導、中心体の断片化がよく関連することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SIRT2とオートファジーとの関連が明確に示され、SAC-Onからの細胞死誘導にこのプロセスが必須であることが明らかになった。強いエビデンスが得られたという点で順調といえる。また次年度の計画として予定していた中心体断片化とSAC-Onからの細胞死誘導との関係については、予定よりも早くそのエビデンスが得られたことからも順調といえる。

今後の研究の推進方策

SAC-On細胞でのオートファジー抑制が中心体保全に重要かどうかを明らかにするSIRT2ノックダウン細胞がSAC-Onに突入した際に見られる中心体崩壊について、断片化した中心体はオートファゴソームに囲まれているのかどうかについて、中心体(γ-tubulin)と内在LC3-IIの免疫染色を行い、両者の共局在の有無から判断する。SIRT2ノックダウン細胞に対し、さらにATG5, LC3, HDAC6, Hsp70sをノックダウンすることでSAC-Off能は回復する。このときオートファジーレベルは正常レベルにまで戻っていること、中心体構造・数は正常であることが予想され、このことを免染にて確認する。そしてこれらの細胞では、中心体がオートファゴソームと局在を異にし、分解から逃れていることを示す。中心体崩壊はSAC-Offを阻害するか上述の計画で、SIRT2によるオートファジー抑制が、中心体機能確保とSAC-Offに必要なことが明らかになる。それでは、後者二つの関係はどうなのだろう。つまり中心体からSAC-Off移行への何らかのシグナルは発せられているのだろうか。この点を明らかにするためSIRT2ノックダウン以外の方法でSAC-On細胞に中心体崩壊を誘導し、その際のSAC-Offへの移行の有無を検出する。まずはSACと関係なく中心体崩壊を誘導できる方法(Lats2, Rad51B, Aki, Kiz等のノックダウン)を試み、SAC-Onの状態で中心体崩壊を呈するケースがどれであるのか知りその細胞のSAC-Off能を解析する。

次年度の研究費の使用計画

今後の研究の推進方策に示したことを行うためには消耗品、特に細胞培養関連試薬、核酸・蛋白解析試薬の購入が中心となる。また日本癌学会(札幌)参加のやめの旅費も私用計画に組み入れている。次年度使用額22,158円が生じたが、これは細胞培養関連試薬経費がの予定よりも低く抑えられたため発生したが、次年度の細胞培養関連試薬経費として使用したい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] The STAT3-IGFBP5 axis is critical for IL-6/gp130-induced premature senescence in human fibroblasts2012

    • 著者名/発表者名
      Kojima H, Kunimoto H, Inoue T, Nakajima K.
    • 雑誌名

      Cell Cycle

      巻: 11 ページ: 730-739

    • DOI

      10.4161/cc.11.4.19172

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MicroRNA-143 Regulates Human Osteosarcoma Metastasis by Regulating Matrix Metalloprotease-13 Expression.2011

    • 著者名/発表者名
      49.Osaki M, Takeshita F, Sugimoto Y, Kosaka N, Yamamoto Y, Yoshioka Y, Kobayashi E, Yamada T, Kawai A, Inoue T, Ito H, Oshimura M, Ochiya T.
    • 雑誌名

      Mol. Ther.

      巻: 19 ページ: 1123-1130

    • DOI

      10.1038/mt.2011.53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of PITX1 as a TERT suppressor gene located on human chromosome 5.2011

    • 著者名/発表者名
      48.Qi DL, Ohhira T, Fujisaki C, Inoue T, Ohta T, Osaki M, Ohshiro E, Seko T, Aoki S, Oshimura M, Kugoh H
    • 雑誌名

      Mol. Cell. Biol.

      巻: 31 ページ: 1624-1636

    • DOI

      10.1128/MCB.00470-10

    • 査読あり
  • [学会発表] 複数の遺伝子搭載が可能な人工染色体ベクターの構築2011

    • 著者名/発表者名
      荻野由加利、松森はるか、押村光雄、中山祐二、井上敏昭
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2011年12月13-16日
  • [学会発表] がん治療の新たな標的分子としてのSIRT22011

    • 著者名/発表者名
      李艶沢、末松知久、中山祐二、押村光雄、井上敏昭
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2011年12月13-16日
  • [学会発表] 麻疹ウイルスエンベロープタンパク質を利用したヒト人工染色体ベクターのin vivo導入に向けた試み2011

    • 著者名/発表者名
      高橋悠、加藤基伸、尾崎充彦、中山祐二、中村貴史、井上敏昭、押村光雄
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2011年12月13-16日
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.tottori-u.ac.jp/genome/309/

  • [備考]

    • URL

      http://www.med.tottori-u.ac.jp/chromosome/1233.html

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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