研究課題
微小管阻害剤など紡錘体チェックポイントを発動させる薬剤の抗癌作用は、M期停止中の細胞死、加えてM期完了せぬままG1期にスリップした四倍体細胞での細胞死(PSCD)誘導にある。本研究ではPSCDを標的とした制癌法開発をめざし、我々は効率的なPSCDに必要な分子としてSIRT2に着目し解析を進め、そのオートファジー制御機能がPSCDのレベルを制御することが分かった。そこで平成26年度は、オートファジーとの関連が知られる転写因子活性化のシグナル経路についてその関与を探った。その結果、SIRT2をノックダウンした細胞(PSCDが不全になった細胞)で、ある経路についてその活性化が起こっていることが、これに深く関わるタンパク分子の局在変化から分かった。この経路の活性化が実際PSCDのレベルを制御するかどうかを検討している。さらにある細胞周期制御分子の高発現がPSCDのレベルとよく相関すること、そしてこの分子の発現レベルを人為的に変えることでSIRT2ノックダウンの表現型がrescueされることが新たに分かった。この細胞周期制御分子の発現制御、オートファジー制御、先述のオートファジーとの関連が知られる転写因子活性化経路の三つの相互関連を解明していくことでPSCDの詳細な機序に今後迫ることができる。
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