研究課題
遺伝情報は、遺伝子の本体であるDNAからRNAに写し取られて発現する。したがって、RNAの細胞内局在化は、遺伝子発現を時空間的に制御するための重要な現象である。本研究では、我々が発見した多数の新規局在化RNAのうち、核内のDNA領域に局在する8個のRNAについて、局在化に必要なRNA配列や局在化機構を明らかにすること、および局在化の生理的意義を解明することを目的とし、局在化RNAの全貌解明に貢献することを目指した。8個のDNA領域局在化RNAのうち、B1199について、内在性の発現を確認したところ、細胞内ではB1199の配列の他にB1199と相補的な配列も転写されており、いずれのRNA鎖もDNA領域への局在を示すことがわかった。また、B1199の局在化配列をマーカー遺伝子につないで酵母の細胞に導入し、マーカー遺伝子のみを導入した場合と比べ、マーカー遺伝子の遺伝子産物(蛋白質)の発現量に差が出るか否かを測定した。マーカー遺伝子のmRNAの発現量が等しい株同士で比較したところ、B1199の局在化配列の付加によって、マーカー遺伝子の遺伝子産物の発現量が約1/3に減少することを確認した。この結果から、B1199の局在化配列の付加によって、マーカー遺伝子由来のmRNAが核内に係留され、細胞質への移動が制限されることが示唆された。すでに局在化配列の同定が終了していたB1199とF958以外の6つのDNA領域局在化RNAついて、断片化実験を行ない、局在化配列の同定を進めた。その結果、6つのうち5つは約700塩基内に、残りの1つは約2,700塩基内に局在化配列が存在することが明らかになった。
すべて 2016
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 未定 ページ: 未定
10.1080/09168451.2016.1158633