研究課題
配偶経験のないグッピーの雌に対して2個体の雄を提示し、配偶させる方の雄への相対的な選好性を計測してから、雄と配偶させて一定期間後に雌を開腹して、受精の有無や、卵や胚の数、発達の程度などを調査し、受精時期を推定した。平成25年度までは、雌を雄と配偶させた後、8日目と15日目を中心に雌を開腹していたが、当初の見込みと異なり少数の雌しか卵を受精させていなかったため、平成26年度では雄との配偶後22日目の雌のサンプルサイズを増やした。これらのデータから、受精胚を保持していた雌の受精時期を推定して分析を行った。その結果、配偶相手の雄に対する雌の選好性は、大きなオレンジ色の斑点を持つ派手な雄に対して高かった。胚の受精時期に関して有意な影響を与えていた要因は、雌の体サイズと、雄に対する雌の選好性の高さであった。雌の体サイズが大きく、配偶相手の雄に対する雌の選好性が高かった場合、雌は早い時期に卵を受精させていたことが判明した。雌が保持していた受精胚の数に関しては、体サイズが大きい雌が多くの受精胚を保持していたが、配偶相手に対する雌の選好性は受精胚の数に大きな影響を与えていなかった。また、全体の半数以上の雌が開腹時に卵を受精させていなかったことから、これらの雌のデータより受精までに雌が卵数などを調節する際に影響を与えていた要因を分析した。その結果、雌の体サイズが大きく、配偶相手の雄が大きなオレンジ色の斑点を持っており派手であるほど、多くの受精していない成熟卵を雌は保持していた。これらの結果から、本種の雌は配偶相手を好んでいた場合は早く卵を受精させるが、配偶相手の雄が派手な場合は受精時期を遅らせて受精までに多くの卵を作ることが考えられた。今後、これらの結果を基に投稿論文を作成する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Behavioral Ecology and Sociobiology
巻: Vol. 67 ページ: 1931-1938
10.1007/s00265-013-1600-z
Journal of Ethology
巻: Vol. 32(印刷中)
10.1007/s10164-014-0402-8