サビキンは植物に絶対寄生する菌であるが、寄主利用における詳細は明らかでない。植物上で、有性生殖における配偶子運搬のために蜜を分泌して昆虫を誘引するという、植物の花のような機能において、植物をどのように利用しているのかを、化学生態学的、分子遺伝学的および形態学的手法により調べた。その結果、材料とした種では昆虫誘引における揮発性物質の役割は重要ではないこと、蜜分泌において寄主植物の花の蜜腺形成時にみられる遺伝子CRABS CLAWが精子器付近で発現していること、その一方で、蜜前駆物質はサビキン細胞内に蓄積がみられることがわかった。これらから、蜜分泌に寄主植物が関与している可能性が考えられた。
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